建築確認申請を最短期間で通す方法【審査がスムーズな図面の共通点】

確認申請マニュアル
  • 建築確認申請を最短で通したい。
  • 期限内に確認済証が発行されないと困る。
  • どうすれば建築確認をスムーズに通過することができる?

こんな疑問に答えます。

確認検査機関で働いていた頃、100人以上の設計者を見てきましたが、確認申請をいつもスムーズに通す優秀な設計者には共通するポイントがありました。

 

本記事では、建築確認申請を最短で通せる設計者の共通点を紹介。

申請書や申請図面を作成する設計者にとって、特に役立つ情報かと思います。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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建築確認申請を最短期間で通す方法

建築確認申請を最も短い期間で通すためには、以下の3つの要素を満たす必要があります。

  1. 図面の完成度が高く、確認検査員が審査しやすい図面が作れる
  2. 建築基準法の知識が豊富で、致命的なミスをしない
  3. 確認検査員と対等に会話ができるコミュニケーション能力がある

この3つ全てを満たすのが理想。ただ、すべての要素をそなえた設計者はほとんどいません。

 

それぞれ平均点以上の能力を持っていれば、「申請期間が最短になる」とまでいかなくても、設計者自身の希望したスケジュール通りに確認済証が発行されるはず。

ここからは、3つの要素の一つ、「確認検査員が審査しやすい図面」を作れる設計者の共通点を解説していきます。

 

 確認検査員が審査しやすい図面を作る設計者の共通点

  1. 合理的に図面が作成されている
  2. 図面や申請書の間で内容が整合している
  3. 図面の書き込みが適切で、審査に必要な項目の漏れがない
  4. 審査に関係のない無駄な書き込みがない
  5. 図面では読み取れない部分はコメント(注釈)で補足されている
  6. プレゼン資料のような図面ではなく、申請に特化した図が描かれている
  7. 一度指摘されたことは、次回以降の申請で繰り返さない

 

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合理的に図面が作成されている

確認検査員は、合理的に作成された図面を好みます。

 

申請図書を作成する目的を考えてみてください。

申請図書は、確認検査員が建築基準法に適合するかどうか、判断をくだすための書類ですよね。

つまり、建築基準法に影響しない、「意味のない情報」を書いてはいけないということ。検査員が図面を読むだけで疲れてしまいます。

 

寸法ひとつ、補足説明ひとつ取っても、記入意図が伝わる図面であることが重要。

そうは言っても、検査員が図面を見て、どんな風に審査しているのかわからない…。

こんな悩みを持つ設計者の方もいるかと。

 

合理的な図面の作成例を知りたい場合は、確認申請マニュアル コンプリート版という書籍が参考になります。

確認申請において、検査員が何を見ようとしているか、理想的な申請図面がどのようなものか、図解が豊富で読みやすい。

戸建住宅を中心に設計する方であれば、世界で一番やさしい確認申請[戸建住宅編]最新法改正対応版 (建築知識 33)がいいですね。

 

図面や申請書の間で内容が整合している

確認申請の審査における指摘事項の約5割は、記載内容の不整合ふせいごうといっても過言ではありません。

 

申請図書における不整合の例

  • 申請書に書いてある建物高さと、立面図に書いてある寸法が違う。
  • 申請途中で床面積を変更したのに、申請書や概要書の数値を修正していない。
  • 平面図と立面図で窓の位置が違う …etc

設計者:建築基準法に不適合となるようなミスじゃないし、凡ミスは検査機関で指摘してもらえばいいか…。

「不整合なんてあって当たり前」という気持ちで作成されている図面は、すぐにわかります。

ミスをなんとも思っていない設計者は、確認検査機関にとって「顧客」ではあっても「優良顧客」として扱われません。

 

理由は以下のとおりで、結果的に審査に必要以上の手間がかかるからですね。

  1. ミスが多い設計者は、信頼ができないので、審査スキルの高いベテランが見ないと危険。
  2. しかし、ベテラン検査員は物件を多く抱えて忙しく、スケジュール調整が難しい。
  3. 結果的に審査期間が長くなってしまう。

確認検査員を指名したり、審査担当者を選ばないと建築確認が通せない設計者は実力不足。

 

誰が審査しても、どの検査機関でも指摘が少ないというのが、優れた設計者であり、検査機関にとっての優良顧客です。

設計者側と確認検査機関側がwin-winとなる関係を築いていきましょう。

 

図面の書き込みが適切で、審査に必要な項目の漏れがない

図面に書かれている情報が少ないと、審査すらできないことがあります。

例えば…、

  • 内装制限に適合しているかどうかを知りたいのに、「内装仕上げ表」がない
  • 居室の採光・換気面積を確認したいのに、建具のサイズが書かれていない

審査をするにあたって、必要図面が不足するとどうなるでしょう?

審査後の設計者に対する指摘事項には「〇〇の図面を添付してください」と書かれて終わり。

つまり、その図面は未審査のまま残ります。

 

のちほど図面を添付すれば再審査が行われますが、訂正箇所が追加されると、修正が1回で完結しません。

もちろん確認申請に要する日数も増えます。

必要図面の添付漏れがないか、設計者自身でチェックリストを作ったり、図面番号に抜けがないか、最終確認をしてから確認検査機関に提出しましょう。

 

審査に関係のないムダな書き込みがない

先に書いたとおり、書き込みが少ないのも問題ですが、不要な情報で埋め尽くされた図面も審査しづらいもの。

自信のない設計者ほど、「数打ちゃ当たる」方式で、余計なことを大量に書いてしまいがちです。

例えば、配置図に外構の樹木や、樹種を記載して文字だらけになっているなど。

建築基準法において重要なポイントのみが強調されていないと、設計者側も審査側もミスが起こりやすくなります。

「申請に不要なことは書かない」という点を意識すべき。

「確認申請図書に何を書くべきか、書かないべきかわからない」という方は、確認申請マニュアル コンプリート版を読んで学習しましょう。

 

図面で読み取れない内容はコメント(注釈)で補足する

申請図書は審査員の目線で作成し、図だけでなくコメントや注釈を記載すべきです。

自分が何の予備知識もない状態で、「建築基準法に適合するか判断してくれ」と申請図書を渡されて、答えが導ける図面になっているでしょうか。

申請図書に対して口頭こうとうで説明しなければ意図が伝わらない図面はNG。

 

例えば、避難階段を緩和するために、5階以上の部分を床面積100㎡以内に抑えた設計をしていたとしましょう。

図面だけでは、緩和を使って免除となることが伝わりづらいです。

階数5以上なのに避難階段が設置されていない…。なにか意図があるのかな?もしかして検討を忘れている?

検査員はこんな風に悩んでしまいます。

 

こんなとき、平面図に「5階以上の部分が床面積100㎡以下のため、避難階段は未設置」などの補足説明があると、検査員も安心できます。

申請図書を誰が見ても法適合性が判断できるように、文章での補足説明をまじえて設計意図を伝えましょう。

 

確認申請に適した図を描くこと【プレゼン図面はNG】

確認申請で提出する図面は、建築基準法の適合性のチェックに特化したものとしましょう。

デザイン性を重視した、プレゼン資料のような図面は確認申請には向いていません。

 

例えば、カラフルでたくさんの色を使用した図面は、審査しづらいことが多い…。

設計者がデザイン的に強調したい部分と、確認申請で注意深く審査したいポイントは違うので。

建築基準法の適否に必要な寸法がシンプルに描かれている図面のほうが、検査機関は好印象を受けるはずです。

 

一度指摘されたことは、次回以降の申請で繰り返さない

確認検査機関に指摘された内容は、次回の申請で同じミスを繰り返さないようにしましょう。

確認検査員として1000件以上審査してきましたが、図面のミスが少ない設計者は、常に改善を加えていきます。

訂正が多い設計者は同じ間違いを繰り返し、「たまたまミスが少なかった」というケースもありません。

指摘事項が多い人と少ない人との差は、一度受けた修正指示に対して「間違えないためにどんな工夫をするか、改善する意思があるか」の違いだと思います。

 

まとめ

申請図書に細かなミスが多くあると、検査員にもストレスが積み重なっていきます。

「美は細部に宿る」という建築家ミース・ファンデルローエの言葉にもあるように、細かな部分をおろそかにする設計者は信用できないもの。

確認申請図書は提出する前に、設計事務所内で最低でも2回以上、見直しをしてから提出しましょう。

この時間をケチると、審査がスムーズに通らず、結果的に余計な時間を費やすことになります。

 

この記事では、確認申請がスムーズに通る図面の共通点を解説してきました。

あたまでは理解できても、具体的に実践するのは至難のワザかと。

逆に言えば、今回挙げたポイントを押さえて図面を作るノウハウがあれば、設計者として独立することも可能です。

”申請図面の作り方”を改めて見直し、できることからチャレンジしてみてください。