旗竿地の3階建住宅の間取りでは『非常用進入口』の位置に要注意

旗竿地_非常用進入口 避難規定
  • 旗竿地に3階建の住宅を建てたいけど、注意すべき点はある?
  • 「非常用の進入口」が必要らしいけど、どこに設置すればいい?

こんな疑問に答えます。

本記事では、旗竿地に建築物を建てるときの注意点として、『代替進入口(非常用進入口に代わる開口部)』の設置位置について解説しています。

とくに、3階建ての戸建て住宅の間取りを作成している設計者にとって役立つ情報かと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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【旗竿地】3階建住宅の間取り作成では『代替進入口(非常用進入口に代わる開口部)』に注意

代替進入口(非常用進入口に代わる開口部):災害などによる非常時に消防隊が外から進入するための開口部。建築基準法により、階数3以上の建物は設置が必要。

 

旗竿地に代替進入口(非常用進入口に代わる開口部)を設けるとき、建築基準法における以下の条件を満たす必要があります。

  1. 建築物の用途は、特殊建築物以外の用途であること
  2. 道路に面する位置に代替進入口、もしくは進入口に接続するバルコニーがあること
  3. 道路境界線から20m以内に代替進入口(進入口に接続するバルコニーでも可)が設置されていること
  4. 専用通路の幅が全て2m以上であること

上記の4つの条件は、防火避難規定の解説2023という書籍に記載されています。

防火避難規定の解説2023は、建築基準法の防火避難規定に関する解説書で、建築設計には必須。

 

上記「項目2」にある「道路に面する位置」という言葉に注目してください。

旗竿地において「道路に面する」とは、どのような状況のことを言うのでしょうか?

 

「道に面する位置」の判断は、道から直接確認できる位置に代替進入口があり、見通し750㎜以上確保されているかどうかが目安です。

旗竿地の代替進入口①

 

また、代替進入口が道路に面していないときは、バルコニーを経由して進入口となる開口部に到達できる計画でもOK。

旗竿地の代替進入口②

 

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代替進入口(令126条の5)を建築基準法で読んでみる

代替進入口は、建築基準法の中に書かれている用語ではありません。略称ですね。

正しく言うと「非常用進入口に代わる開口部」です。

 

建築基準法施行令126条の6第1項ただし書きの中に、非常用進入口の設置を緩和して、代替進入口とするための条件が書かれています。

第5節 非常用の進入口

(設置)

第126条の6

建築物の高さ31m以下の部分にある3階以上の階(不燃性の物品の保管その他これと同等以上に火災の発生のおそれの少ない用途に供する階又は国土交通大臣が定める特別の理由により屋外からの進入を防止する必要がある階で、その直上階又は直下階から進入することができるものを除く。)には、非常用の進入口を設けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合においては、この限りでない。

中略

二 道又は道に通ずる幅員4m以上の通路その他の空地に面する各階の外壁面に窓その他の開口部(直径1m以上の円が内接することができるもの又はその幅及び高さが、それぞれ、75㎝以上及び1.2m以上のもので、格子その他の屋外からの進入を妨げる構造を有しないものに限る。)を当該壁面の長さ10m以内ごとに設けている場合

以下省略

上記の赤字部分が、代替進入口を道路に面して設けなければいけない根拠です。

旗竿地であっても例外ではないので、3階建の建築物の設計では、進入口の位置を意識しましょう。

 

まとめ

旗竿地は、道路から建物に到達するまでの専用通路部分が長いため、消防隊員が救助活動をしづらい敷地形状。

そのため、代替進入口を設けるにあたって様々な条件が定められており、知らずに設計をすると計画そのものが破綻してしまいます。

確認検査機関で審査を担当していたときにも、設計者が進入口の位置を考えておらず、不適合となった事例がありました。

 

繰り返しとなりますが、旗竿地の間取り作成では以下のポイントに注意しましょう。

  • 道路に面する位置に代替進入口、もしくは進入口に接続するバルコニーがあること
  • 道路境界線から20m以内に代替進入口(またはバルコニー)を設置
  • 専用通路の幅が全て2m以上であること