
- 準防火地域って何?
- 延焼ライン内の窓は防火設備が必要?
- 耐火建築物にしなければいけない建物の規模が知りたい。
こんな疑問に答えます。
本記事では『準防火地域』における建築基準法の制限について、わかりやすく解説。
準防火地域内で建築物を設計する方にとって、建物用途や規模を問わず、必須の知識だけをまとめています。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識をわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。
準防火地域とは
『準防火地域』とは、防火性能を高めつつ、火災の延焼速度を抑えるための規制が建築物に適用される地域です。
大都市を中心として、密度の高い市街地に広く指定されています。
準防火地域では、以下の6つの部位に対する建築基準法の制限が適用されます。
- 建築物の構造
- 屋根
- 外壁
- 軒裏
- 延焼ライン内にある開口部
- 塀、門
1.【準防火地域】建築物の構造制限|耐火建築物の要否判定
準防火地域内の建築物に適用される構造制限を一覧表にまとめると、以下のとおり。
延べ面積≦500㎡ | 500㎡≦延べ面積≦1500㎡ | 1500㎡<延べ面積 | |
(地上の)階数≧4 | 耐火建築物等 | 耐火建築物等 | 耐火建築物等 |
(地上の)階数3 |
|
|
耐火建築物等 |
(地上の)階数≦2 | - |
|
耐火建築物等 |

地上4階建て、または延べ面積1500㎡超の建築物を建てる場合、耐火建築物が要求されるわけですね。
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2.【準防火地域】屋根の制限
準防火地域内の建築物は、隣地の火災による火の粉から建物を守るため、屋根に一定の防火性能が求められています。
建築物の用途・構造 | 必要な性能 | 屋根の構造方法(告示1365号) |
不燃性物品の倉庫等(屋根以外の主要構造部が準不燃材料) | 非発炎性 | 下記①~④のいずれか |
上記以外の建築物 | 非発炎性
非損傷性 |
下記①~③のいずれか |
✔ 屋根の構造方法(告示1365号の抜粋)
上記の告示仕様(告1365号)ではなく、以下の大臣認定仕様を採用することも可能。
✔ 準防火地域の屋根の大臣認定仕様
- NM-####:不燃材料
- NE-####:不燃材料(外部仕上げ用)
- DR-####:防火地域・準防火地域における屋根
3.【準防火地域】外壁の制限
木造建築物等の延焼ライン内にある「外壁」は、防火構造としなければなりません。
防火構造とは、建築物の周囲で火災が発生した際に、延焼を抑えるために必要な防火性能をもつ構造のこと。
具体的には、以下のいずれかを選択します。
- 告示仕様:告示1359号
- 大臣認定:PC030BE-####
4.【準防火地域】軒裏の制限
外壁と同様に、木造建築物等で延焼ライン内にある「軒裏」も防火構造が必須です。
✔ 軒裏の防火構造
- 告示仕様:告示1359号
- 大臣認定:PC030RS-####
5.【準防火地域】開口部の制限
延焼ライン内にかかる外壁の開口部(窓・扉・換気口など)は、防火設備が必要。
防火設備の告示仕様か、大臣認定仕様のいずれかを選択することになります。
- 告示仕様:建築基準法の建設省告示第1360号に適合するもの
- 大臣認定仕様:認定番号 EB-####の製品(耐火建築物、または準耐火建築物とする場合は、EB-####)
防火設備の基準について詳しく知りたい方は、『防火設備』とは|告示仕様と大臣認定品の違いも解説【一覧表あり】の記事をご確認ください。
6.【準防火地域】塀・門の制限
木造建築物等に附属する高さ2mを超える門・塀は、延焼ライン内にある部分を、以下のいずれかで造らなければなりません。
✔ 「門」の構造
- 不燃材料で造り、または覆うこと
- 道に面する部分を厚さ24㎜以上の木材で造ること
✔ 「塀」の構造
- 不燃材料で造り、または覆うこと
- 道に面する部分を厚さ24㎜以上の木材で造ること
- 土塗真壁造で塗厚さが30㎜以上のもの(表面に木材を張ったものを含む)とすること
準防火地域について建築基準法で読む
準防火地域における建築制限を調べるときは、建築基準法を以下の順で読み進めましょう。
- 建築基準法61条
- 建築基準法 施行令136条の2
- 国土交通省 告示第194号

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル や建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解するのがおすすめです。
(防火地域及び準防火地域内の建築物)
第61条
防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火戸その他の政令で定める防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分及び当該防火設備を通常の火災による周囲への延焼を防止するためにこれらに必要とされる性能に関して防火地域及び準防火地域の別並びに建築物の規模に応じて政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。ただし、門又は塀で、高さ2m以下のもの又は準防火地域内にある建築物(木造建築物等を除く。)に附属するものについては、この限りでない。
防火地域または準防火地域における建築物の技術的基準は、令136条の2に書かれています。
(防火地域又は準防火地域内の建築物の壁、柱、床その他の部分及び防火設備の性能に関する技術的基準)
第136条の2
法第61条の政令で定める技術的基準は、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定めるものとする。
以下省略
準防火地域における具体的な設計基準は、告示194号を確認しましょう。
国土交通省告示第194号
建築基準法(昭和25年法律第201号)第61条の規定に基づき、防火地域又は準防火地域内の建築物の部分及び防火設備の構造方法を定める件を次のように定める。
以下省略
まとめ
- 準防火地域とは、火災の延焼速度を抑えるための規制が建築物に適用される地域。
- 以下の6つの部位に対して建築基準法の制限が適用される。
- 建築物の構造
- 屋根
- 外壁
- 軒裏
- 延焼ライン内にある開口部
- 塀、門
- 準防火地域内の建築物に適用される構造制限(耐火建築物の要否)は一覧表でチェック。
- 準防火地域内の建築物は、屋根に一定の防火性能が求められる。
- 木造建築物等の延焼ライン内にある外壁・軒裏は防火構造。
- 延焼ライン内にかかる外壁の開口部は防火設備。
- 木造建築物等に附属する高さ2mを超える門・塀は、不燃材料等で造ること。
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