- フーチングって何?
- フーチングを基礎に設ける理由が知りたい。
- 独立フーチング基礎と複合フーチング基礎の違いは?
こんな疑問に答えます。
本記事では、建築構造における「フーチング」についてわかりやすく解説。
フーチングの位置や役割、地耐力との関係性を理解することができます。
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住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
フーチングとは
フーチングとは、柱や耐力壁の基礎底部を広げたものです。
底盤と呼ばれることも。
荷重をなるべく広く分散して地盤面で受けるために設けるもの。
建物の自重を分散させ、倒壊や沈下を防ぐ役割を果たしていますね。
ちなみに、フーチングはもともと和製英語です。形状が足の裏に似ていることから「footing=足の裏」と呼ばれるようになりました。
フーチングの寸法
フーチングの底面積は以下の条件に応じて決まります。
- 荷重
- 地耐力
地盤の地耐力とフーチングの幅の関係を簡単にまとめました。
地盤の種別 | フーチングの幅 |
通常の地盤:地耐力5t/㎡以上 | 36cm以上 |
弱い地盤:3t/㎡~5t/㎡ | 45cm以上 |
地耐力が大きい地盤はフーチングの幅を小さくしても建物を支えられます。逆に、地耐力が小さい地盤はフーチングの幅を広くしなければなりません。
詳しい基準は、建築基準法の平成12年建告1347号(基本建築関係法令集 〔告示編〕)に書かれています。
地盤の長期許容応力度(単位:kN/㎡) | 底盤(フーチング)の幅 | ||
木造または鉄骨造など重量の小さな建築物 | その他の建築物 | ||
平屋建て | 2階建て | ||
地耐力30kN/㎡以上~50kN/㎡未満 | 30cm以上 | 45cm以上 | 60cm以上 |
地耐力50kN/㎡以上~70kN/㎡未満 | 24cm以上 | 36cm以上 | 45cm以上 |
地耐力70kN/㎡以上 | 18cm以上 | 24cm以上 | 30cm以上 |
独立フーチング基礎とは
独立フーチング基礎とは、フーチングが連続せず、柱ごとに単独で設けられた基礎のことです。
独立基礎と呼ぶことも。
建物が沈下がしやすくなるため、沈下量計算等で安全性を確認する必要があります。
複合フーチング基礎とは
複合フーチング基礎とは、T字を逆にした形(またはL字形)の基礎で、フーチングがつながっているものです。
布基礎とも言いますね。
壁式RC造や木造の建築物に用いられます。
フーチングについて建築基準法を読む
複合フーチング基礎(布基礎)については、建築基準法の平成12年建告1347号に書かれています。
○建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を定める件
(平成十二年五月二十三日)
(建設省告示第千三百四十七号)
建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)第三十八条第三項及び第四項の規定に基づき、建築物の基礎の構造方法及び構造計算の基準を次のように定める。中略
4 建築物の基礎を布基礎とする場合にあっては、次に定めるところによらなければならない。
一 中略
二 底盤の幅は、地盤の長期に生ずる力に対する許容応力度及び建築物の種類に応じて、次の表に定める数値以上の数値とすること。ただし、基礎ぐいを用いた構造とする場合にあっては、この限りでない。
中略
三 鉄筋コンクリート造とする場合にあって、前号の規定による底盤の幅が二十四センチメートルを超えるものとした場合には、底盤に補強筋として径九ミリメートル以上の鉄筋を三十センチメートル以下の間隔で配置し、底盤の両端部に配置した径九ミリメートル以上の鉄筋と緊結すること。
まとめ
- フーチングとは、柱や耐力壁の基礎底部を広げたもの。
- フーチングの底面積は以下の条件に応じて決まる。
- 荷重
- 地耐力
- 独立フーチング基礎とは、柱ごとにフーチングが単独で設けられた基礎のこと。
- 複合フーチング基礎とは、T字またはL字形の基礎で、フーチングがつながっているもの。
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