『容積率』とは?|建築基準法における用語の定義・計算方法を図解

容積率とは 集団規定
  • 容積率って何?
  • 容積率の計算方法を図解で知りたい。
  • 道路幅員が一定でないとき、容積率の限度をどうやって算定する?

こんな疑問に答えます。

本記事では、建築基準法における『容積率』について、図解でわかりやすくまとめています。

記事を読むことで、「容積率の定義」や「計算方法」が理解できるかと。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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『容積率(ようせきりつ)』とは

『容積率(ようせきりつ)』とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合のこと。

ひとつの敷地の中にどれぐらい大きな建物が建てられるかという指標ですね。

容積率とは

延べ床面積:各階の床面積の合計
床面積:建築物の区画の中心線で囲まれた水平投影面積

建築基準法では、敷地の条件に応じて容積率の限度が定められています。

つまり、その限度を上回るような、床面積の大きな建築物は建てることができないということ。

容積率によって、どれくらいの規模の建物を設計できるかが決まるわけですね。

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『容積率』の計算方法【緩和対象となる用途の一覧表】

容積率の計算式は、以下のとおり。

容積率(%) = 延べ床面積(㎡) ÷ 敷地面積(㎡)×100

ただし、容積率には「計算から免除される建築物の部分」があります。

建物内で以下に当てはまる用途の床面積は、容積率の対象面積から免除。いわゆる緩和規定ですね。

 

容積率対象面積から除外される建物用途の一覧表

容積率緩和が適用される建築物の部分 緩和が適用できる限度
地階の住宅等の部分 【住宅の部分】および【老人ホーム等の部分】の 1/3 まで
昇降路(エレベーター等)の部分  停止階分の全て
共同住宅・老人ホーム等の共用部分 全て
自動車車庫等 【建築物全体】の 1/5 まで
備蓄倉庫 【建築物全体】の 1/50 まで
蓄電池 【建築物全体】の 1/50 まで
自家発電設備 【建築物全体】の 1/100 まで
貯水槽 【建築物全体】の 1/100 まで
宅配ボックス 【建築物全体】の 1/100 まで

つまり、建築基準法における緩和を適用した場合の容積率の計算式は、下記となります。

容積率 = (延べ床面積−免除される部分の床面積) ÷ 敷地面積 ×100

詳しい緩和条件は、容積率の緩和まとめ|備蓄倉庫・車庫・地下室・エレベーター等の免除の記事をご確認ください。

 

計画敷地の容積率の限度は「都市計画」と「道路幅員」で決まる

容積率の限度は、大きく分けて2つの基準によって決まります。

  1. 用途地域ごとに都市計画で定められた指定容積率
  2. 道路幅員に応じて算出した容積率の限度

上記の2つを比較して、小さい方の値が、計画敷地における容積率の限度です。

 

用途地域ごとに都市計画で定められた指定容積率の調べ方

敷地の指定容積率は、市役所などで調べるか、インターネットで公開された情報を確認すればOK。

例えば、計画敷地が東京都内で用途地域を調べたい場合は、「東京都 用途地域」などで検索すれば、以下のようなサイトが表示されます。

 

道路幅員による容積率制限の計算式

道路幅員による容積率の限度は、「住居系の用途地域」と「その他の用途地域」で計算式が変わります。

  • 住居系の用途地域:道路幅員W×0.4
  • その他の区域:道路幅員W×0.6

容積率_敷地に接する道路幅員による容積率制限

 

例えば、設計しようとする敷地が以下としましょう。

  • 一種住居地域(=住居系の用途地域)
  • 指定容積率200%
  • 前面道路の幅員が4m

容積率_道路幅員による制限

この敷地の容積率の限度は、160%=道路幅員4m×0.4(住居系)×100。

容積率160%を超えないような延べ床面積の建物しか設計することができないわけですね。

 

前面道路の幅員が一定でないときの『容積率の限度』

Q. 敷地に接する道路の幅員が一定でないとき、容積率の限度はどのように算定すればいいですか?
A. 前面道路の幅員のなかで、最も広い部分から狭い方に2mの位置の道路幅員で容積率の限度を算定。

文章を読んでもよくわからないと思うので、下図をご確認ください。

 

容積率_幅員が一定でない道路の『容積率の限度』の求め方

最も広い幅員が5mで、狭いほうに2mの位置の幅員が4.5m。

つまり、例のような敷地であれば、「容積率の限度180%=道路幅員4.5m×0.4(住居系)×100」となるわけですね。

 

2つの道路に接する敷地の『容積率の限度』

Q. 敷地に2つの道路が接するとき、道路幅員による容積率の限度は、どのように算定すればいいですか?
A. 広い方の道路幅員で、容積率の限度を検討しましょう。例えば、4m道路と6m道路に接している場合は、幅員6mを採用して容積率の限度を検討。

容積率_2つの道路に接する敷地の『容積率の限度』

 

容積率について建築基準法で読んでみる

容積率は、建築基準法52条に定められています。

(容積率)

第52条

建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合(以下「容積率」という。)は、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数値以下でなければならない。

以下省略

 

建築確認の申請書第三面で容積率を読んでみる

建築確認申請で容積率の法適合性が判断されるのは、確認申請書の第三面。

容積率_建築確認申請書第三面_容積率の限度

上図の例では、敷地の「行政によって定められた容積率の限度」が200%。道路幅員による容積率の限度が160%。小さい方が採用されるので、容積率限度160%となりますね。

 

では、計画した建物の容積率を記載する項目も見てみましょう。

容積率_建築確認申請書第三面_建物の容積率

上の例では、「建築物の容積率130% < 敷地の容積率の限度160%」となります。

申請書第三面を見れば、”容積率の制限に適合している”という根拠がわかるわけですね。

 

まとめ

  • 容積率とは、敷地面積に対する延べ床面積の割合。
  • 容積率の計算式:
    容積率(%)= 延べ床面積(㎡)÷ 敷地面積(㎡)×100
  • 建築基準法における緩和を適用した場合の容積率の計算式:
    容積率=(延べ床面積−免除される用途部分)÷敷地面積×100
  • 「容積率対象面積から除外される建物用途」は一覧表で確認。
  • 容積率の限度は、以下の2つの基準を比較して小さい方の値となる。
    • 用途地域ごとに都市計画で定められた指定容積率
    • 道路幅員に応じて算出した容積率の限度
  • 道路幅員による容積率制限の計算式
    • 住居系の用途地域:道路幅員W×0.4
    • その他の区域:道路幅員W×0.6
  • 敷地に接する道路の幅員が一定でないときの容積率の限度
    ⇒前面道路の幅員のなかで、最も広い部分から狭い方に2mの位置の幅員で容積率の限度を算定。
  • 敷地に2つの道路が接するとき、道路幅員による容積率の限度
    ⇒広い方の道路幅員で、容積率の限度を算定。