工作物とは|確認申請の必要な準用工作物を解説【建築物には非該当】

工作物 建築基準法まとめ
  • 工作物って何?
  • 工作物の定義にあてはまる構造物が知りたい。
  • 確認申請が必要な工作物の種類と規模は?

こんな疑問に答えます。

本記事では、建築基準法における「工作物」についてわかりやすく解説。

記事を読むことで、工作物という用語の意味や確認申請の対象となる構造物(擁壁・広告塔など)を理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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工作物の定義とは

建築関連の法規における「工作物」とは、地上または地中で、人工的につくられた構造物のことです。

工作物の例

  • 建築物
  • 電柱
  • トンネル
  • 溝渠
  • 擁壁

建築物は工作物の一種。

建築基準法における「建築物」は土地に定着する工作物の中で、以下に当てはまるものです。

  • 屋根、柱、または壁を有するもの
  • 建築物に付属する門または塀
  • 建築設備
  • 観覧のための工作物
  • 地下や高架の工作物内に設けられる以下の施設
    • 事務所
    • 店舗
    • 興行場
    • 倉庫

以下の施設は除外。工作物の一種であるものの、建築物には該当しません。

  • 鉄道や軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設。
  • 跨線橋
  • プラットホームの上家
  • 貯蔵槽

 

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確認申請の必要な工作物とは

建築基準法施行令138条において定められた下表の工作物は、指定確認検査機関または特定行政庁への確認申請が必要となります。

煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物(令138条1項)

一号 煙突(支枠および支線を含む。ストーブの煙突を除く) 高さ6mを超えるもの
二号 鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱(旗ざおを除く) 高さ15mを超えるもの
三号 広告塔、広告板、装飾塔、記念塔 高さ4mを超えるもの
四号 高架水槽、サイロ、物見塔 高さ8mを超えるもの
五号 擁壁 高さ2mを超えるもの

昇降機、ウオーターシユート、飛行塔その他これらに類する工作物(令138条2項)

一号 乗用エレベーターまたはエスカレーターで観光のためのもの(一般交通の用に供するものを除く)
二号 ウオーターシユート、コースターその他これらに類する高架の遊戯施設
三号 メリーゴーラウンド、観覧車、オクトパス、飛行塔その他これらに類する回転運動をする遊戯施設で原動機を使用するもの

製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物(令138条3項)

1 コンクリートプラント、 クラッシャープラント、アスファルトプラント
2 自動車車庫で工作物となるもの
3 飼料、肥料、セメント等を貯蔵するサイロ
4 ウォーターシュート、コースター、メリーゴーランド等
5 汚物処理場、ごみ焼却場、その他処理施設

建築基準法88条の規定にもとづき、 令138条で指定されています。

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準用工作物とは

準用工作物とは、安全上の観点から建築基準法の一部が準用される工作物のことです。

  • 煙突
  • RC柱、鉄柱、木柱等
  • 広告塔、広告板、装飾塔、記念塔等
  • 高架水槽、サイロ、物見塔等
  • 擁壁
  • 観光用施設に設ける昇降機など(観光用エレベーター、観光用エスカレーター)※ただし、一般交通用は築設備として扱う
  • 高架の遊戯施設(コースター、ウォーターシュートなど)
  • 原動機付回転遊戯施設(メリーゴーランド、観覧車、飛行塔など)

 

指定工作物とは

指定工作物とは、用途地域による規制を受ける工作物です。

建築基準法88条2項および建築基準法施行令138条3項に示されています。

  • 用途規則(法48条)を受ける工作物:製造施設、貯蔵施設、遊戯施設、自動車車庫
  • 処理施設位置の制限(法51条)を受ける工作物:汚物処理場、ごみ焼却場等

工作物となる自動車車庫は、機械式駐車場で屋根がなく、設置面からの高さが8m以下のものを指します。

 

特定工作物とは

特定工作物とは、都市計画法による開発許可の対象となる工作物のことです。

周辺地域の環境に悪影響をもたらすおそれがあるものとして規制されていて、次の2種類に分類されます。

  • 第一種特定工作物:コンクリートプラント等
  • 第二種特定工作物:ゴルフコース、1ヘクタール以上の運動・レジャー施設等

 

工作物と建築物の違い

工作物と建築物の定義を整理すると以下のとおり。

  • 工作物:土地に定着する人工物。
  • 建築物:屋根とそれを支える柱・壁のあるもの。建築物に付属する門扉や塀も含まれる。

建築物は、土地に定着する工作物のうち、屋根・柱・壁を設けたものと言えます。

 

建築基準法を読む

建築基準法において工作物について書かれた条項を抜粋しました。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2024 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2024といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(用語の定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 建築物 土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門若しくは塀、観覧のための工作物又は地下若しくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨こ線橋、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。

(工作物への準用)
第八十八条 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で政令で指定するもの及び昇降機、ウォーターシュート、飛行塔その他これらに類する工作物で政令で指定するもの(以下この項において「昇降機等」という。)については、第三条、第六条(第三項、第五項及び第六項を除くものとし、第一項及び第四項は、昇降機等については第一項第一号から第三号までの建築物に係る部分、その他のものについては同項第四号の建築物に係る部分に限る。)、

中略

の規定を準用する。この場合において、第二十条第一項中「次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準」とあるのは、「政令で定める技術的基準」と読み替えるものとする。

2 製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物で政令で指定するものについては、第三条、第六条(第三項、第五項及び第六項を除くものとし、第一項及び第四項は、第一項第一号から第三号までの建築物に係る部分に限る。)、

中略

の規定を準用する。この場合において、第六条第二項及び別表第二中「床面積の合計」とあるのは「築造面積」と、第六十八条の二第一項中「敷地、構造、建築設備又は用途」とあるのは「用途」と読み替えるものとする。

以下省略

(工作物の指定)
第百三十八条 煙突、広告塔、高架水槽、擁壁その他これらに類する工作物で法第八十八条第一項の規定により政令で指定するものは、次に掲げるもの(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関するものその他他の法令の規定により法及びこれに基づく命令の規定による規制と同等の規制を受けるものとして国土交通大臣が指定するものを除く。)とする。

一 高さが六メートルを超える煙突(支枠及び支線がある場合においては、これらを含み、ストーブの煙突を除く。)
二 高さが十五メートルを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの(旗ざおを除く。)
三 高さが四メートルを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
四 高さが八メートルを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
五 高さが二メートルを超える擁壁

2 昇降機、ウオーターシユート、飛行塔その他これらに類する工作物で法第八十八条第一項の規定により政令で指定するものは、次の各号に掲げるものとする。

一 乗用エレベーター又はエスカレーターで観光のためのもの(一般交通の用に供するものを除く。)
二 ウオーターシユート、コースターその他これらに類する高架の遊戯施設
三 メリーゴーラウンド、観覧車、オクトパス、飛行塔その他これらに類する回転運動をする遊戯施設で原動機を使用するもの

3 製造施設、貯蔵施設、遊戯施設等の工作物で法第八十八条第二項の規定により政令で指定するものは、次に掲げる工作物(土木事業その他の事業に一時的に使用するためにその事業中臨時にあるもの及び第一号又は第五号に掲げるもので建築物の敷地(法第三条第二項の規定により法第四十八条第一項から第十四項までの規定の適用を受けない建築物については、第百三十七条に規定する基準時における敷地をいう。)と同一の敷地内にあるものを除く。)とする。

以下省略

 

都市計画法を読む

特定工作物の定義は都市計画法4条に書かれています。

(定義)
第四条
11 この法律において「特定工作物」とは、コンクリートプラントその他周辺の地域の環境の悪化をもたらすおそれがある工作物で政令で定めるもの(以下「第一種特定工作物」という。)又はゴルフコースその他大規模な工作物で政令で定めるもの(以下「第二種特定工作物」という。)をいう。

 

まとめ

  • 工作物とは、地上または地中で、人工的につくられた構造物。
  • 令138条において定められた工作物は、指定確認検査機関または特定行政庁への確認申請が必要。
  • 準用工作物とは、安全上の観点から建築基準法の一部が準用される工作物。
  • 指定工作物とは、用途地域による規制を受ける工作物。
  • 特定工作物とは、都市計画法による開発許可の対象となる工作物。
  • 建築物とは、屋根とそれを支える柱・壁のあるもの。建築物に付属する門扉や塀も含む。

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