『検査済証』とは|検査済証がないときの対処法・再発行の可否も解説

検査済証 確認申請マニュアル
  • 検査済証って何?
  • 検査済証がないと、どんなデメリットがある?
  • 再発行はできる?

こんな悩みに答えます。

 

本記事では、建築基準法における『検査済証』の定義や取得方法、交付先について詳しく解説。

建築物や工作物を新築、または増築する方にとって役立つ情報です。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築基準法の知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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検査済証とは【建築物・工作物が建築基準法に適合していることを示す証書】

『検査済証(けんさずみしょう)』とは、確認済証が交付された建築物または工作物について、特定行政庁または指定確認検査機関が実施する完了検査に合格したことを示す証書です。

検査済証_サンプル

検査済証の交付された建築物や工作物は、建築基準法に適合していると言えます。

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検査済証の交付先

検査済証の交付は、以下のいずれかの機関が行います。

  • 特定行政庁
  • 指定確認検査機関

 

検査済証を取得する流れ

検査済証を取得する流れを図解すると下記のとおり。

検査済証フローチャート

建築主(または代理者)は、工事が完了してから4日以内に、指定確認検査機関(または特定行政庁)へ完了検査の申請をしなければなりません。

その後、指定確認検査機関(または特定行政庁)側は、申請を受け付けてから7日以内に検査を実施。

確認検査員による現場検査で、建築物(または工作物)が、建築基準法に「適合」すると判定されれば、検査済証が交付されます。

 

検査済証のない建築物のデメリット【増築・用途変更が困難】

”検査済証が交付されていない建築物”は、増築や用途変更が難しくなります。

既存の建築物が建築基準法に”違反しているのか”、”適合しているのか”判別できないため。

建築基準法によって、“違反建築物への増築や用途変更は実施できない”とされています。

つまり、検査済証がない場合、まずは既存建築物を建築主が調査し、建築基準法に適合することを指定確認検査機関(または特定行政庁)へ証明しければなりません。

築年数の古い建物が、建築基準法に適合すること証明するのは非常にむずかしいでしょう。

 

”検査済証のない建築物のガイドライン”とは

国土交通省は、検査済証のない建築物に対して、“建築基準法への適合性を調査するためのガイドライン”を定めています。

正式名称は「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関等を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」。

建築基準法への適合状況調査に必要な図書

調査を実施するには、以下のいずれかの図書が必要です。

  • 確認申請図書(確認済証および、その添付図書)
  • 確認申請図書がない場合は、建築士によって作成された復元図書

調査方法

新築物件で実施される完了検査をベースに、目視・計測・動作確認を指定確認検査機関がおこないます。

✔️ 主な調査内容

  • 建築確認申請図書(または復元図書)どおりの状態かどうか適合状況を調査。
  • 目視が困難な部分(特に鉄筋コンクリート造における構造関係規定等)は、コンクリート強度のチェック
  • はじめ、必要に応じてコア抜き調査等で確認。(耐震診断と同じ考え方)

 

【Q&A】検査済証は再発行できる?【できません】

Q.指定確認検査機関や特定行政庁で、検査済証は再発行してもらえますか?
A.検査済証の再発行はできません。

ですが、検査済証が交付されていることを示す証明書として、特定行政庁では「建築台帳記載事項証明書」を発行してもらうことは可能です。

もしも台帳を取得する際の申請者が、建築主と異なる場合は、建築主の委任状等が必要となります。

 

『検査済証』について建築基準法を読む

検査済証については、建築基準法7条に明記されています。

(建築物に関する完了検査)

第7条

建築主は、第6条第一項の規定による工事を完了したときは、国土交通省令で定めるところにより、建築主事の検査を申請しなければならない。

2 前項の規定による申請は、第6条第一項の規定による工事が完了した日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。ただし、申請をしなかつたことについて国土交通省令で定めるやむを得ない理由があるときは、この限りでない。

3 前項ただし書の場合における検査の申請は、その理由がやんだ日から4日以内に建築主事に到達するように、しなければならない。

4 建築主事が第1項の規定による申請を受理した場合においては、建築主事又はその委任を受けた当該市町村若しくは都道府県の職員(以下この章において「建築主事等」という。)は、その申請を受理した日から7日以内に、当該工事に係る建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合しているかどうかを検査しなければならない。

5 建築主事等は、前項の規定による検査をした場合において、当該建築物及びその敷地が建築基準関係規定に適合していることを認めたときは、国土交通省令で定めるところにより、当該建築物の建築主に対して検査済証を交付しなければならない。

また、法6条1項一号~三号に該当する用途・規模の建築物は、検査済証の交付を受けるまで、建物を使用することができません。

(検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限)

第7条の6

第6条第1項第一号から第三号までの建築物を新築する場合又はこれらの建築物(共同住宅以外の住宅及び居室を有しない建築物を除く。)の増築、改築、移転、大規模の修繕若しくは大規模の模様替の工事で、廊下、階段、出入口その他の避難施設、消火栓、スプリンクラーその他の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置、非常用の昇降機若しくは防火区画で政令で定めるものに関する工事(政令で定める軽易な工事を除く。以下この項、第18条第24項及び第90条の3において「避難施設等に関する工事」という。)を含むものをする場合においては、当該建築物の建築主は、第7条第5項の検査済証の交付を受けた後でなければ、当該新築に係る建築物又は当該避難施設等に関する工事に係る建築物若しくは建築物の部分を使用し、又は使用させてはならない。

ただし、次の各号のいずれかに該当する場合には、検査済証の交付を受ける前においても、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。

一 特定行政庁が、安全上、防火上及び避難上支障がないと認めたとき。

二 建築主事又は第7条の2第1項の規定による指定を受けた者が、安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき。

三 第7条第1項の規定による申請が受理された日(第7条の2第1項の規定による指定を受けた者が同項の規定による検査の引受けを行つた場合にあつては、当該検査の引受けに係る工事が完了した日又は当該検査の引受けを行つた日のいずれか遅い日)から7日を経過したとき。

 

まとめ

  • 検査済証とは、確認申請の必要な建築物または工作物について、特定行政庁 or 指定確認検査機関が実施する完了検査に合格したことを示す証書。
  • 検査済証の交付は、以下のいずれかの機関が行う。
    • 特定行政庁
    • 指定確認検査機関
  • 建築主は、工事が完了してから4日以内に、指定確認検査機関 or 特定行政庁へ完了検査の申請をしなければならない。
  • ”検査済証が交付されていない建築物”は、増築や用途変更が困難。
    • 建築基準法により、“違反建築物への増築や用途変更は実施できない”から。
  • 国土交通省は、検査済証のない建築物に対して、“建築基準法への適合性を調査するためのガイドライン”を定めている。

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