避難階とは|建築基準法における定義・歩行距離の制限を図解

避難階 避難規定
  • 避難階って、どういう意味?
  • 用語の定義は建築基準法のどこに書いてある?
  • 地下1階や2階を避難階とすることは可能?

こんな悩みに答えます。

 

本記事では、建築基準法における「避難階」の定義について、わかりやすく図解。

法文のなかに避難階という言葉は何度もでてきます。用語を正しく理解しなければ設計ミスにつながることも。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築基準法の知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

 

Sponsored Links

避難階とは【屋外出口のある階】

避難階とは、地上への出口がある階です。

「屋外に直接避難できる階」を示すため、「1階=避難階」という建築物が多いでしょう。

避難階

ただし、1階以外が避難階になるケースも。

高低差のある敷地に建築物をつくる際、屋外出口が複数の階にあるときは、それぞれを避難階とみなすことができます。

避難階_複数の階

 

Sponsored Links

避難階の居室・階段から屋外出口への歩行距離

建築基準法では避難階において、以下の位置から屋外出口までの距離が制限されています。

  • 階段
  • 居室

避難階_屋外出口への歩行距離

階段から出口までの歩行距離

令120条の歩行距離(下表)以下とすること

避難階の居室から出口までの歩行距離

令120条の歩行距離(下表)の2倍以下とすること。

建築基準法施行令120条の歩行距離

構造

居室の種類

主要構造部が準耐火構造、または不燃材料で造られている場合 その他の場合
(1) 令116条の2第1項一号にあたる開口部を有しない居室

または

法別表第一(い)欄(四)項の特殊建築物の主たる用途に供する居室

30m 30m
(2) 法別表第一(い)欄(二)項の特殊建築物の主たる用途に供する居室 50m 30m
(3) (1)または(2)以外の居室 50m 50m

 

避難経路の流れ

災害時に建物内から安全な場所へと逃げるために「避難階」は重要な意味をもちます。

避難の流れ

居室→廊下→直通階段→避難階→屋外出口→敷地内通路→道路・公園・広場

居室から道路へといたる経路と距離を意識して設計を進めましょう。

関連記事

 

建築基準法で避難階の定義を読む

避難階の定義は、建築基準法施行令13条に書かれています。

第三節の三 検査済証の交付を受けるまでの建築物の使用制限

避難施設等の範囲

第十三条 中略

一 避難階(直接地上へ通ずる出入口のある階をいう。以下同じ。)以外の階にあつては居室から第百二十条又は第百二十一条の直通階段に、避難階にあつては階段又は居室から屋外への出口に通ずる出入口及び廊下その他の通路

以下省略

避難階における歩行距離の制限は令125条。

屋外への出口

第百二十五条 避難階においては、階段から屋外への出口の一に至る歩行距離は第百二十条に規定する数値以下と、居室(避難上有効な開口部を有するものを除く。)の各部分から屋外への出口の一に至る歩行距離は同条に規定する数値の二倍以下としなければならない。

2 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂又は集会場の客用に供する屋外への出口の戸は、内開きとしてはならない。

3 物品販売業を営む店舗の避難階に設ける屋外への出口の幅の合計は、床面積が最大の階における床面積百平方メートルにつき六十センチメートルの割合で計算した数値以上としなければならない。

4 前条第三項の規定は、前項の場合に準用する。

 

まとめ

  • 避難階とは、地上への出口がある階。
  • 屋外出口が複数の階にあるときは、それぞれを避難階とみなすことができる。
  • 避難階では、階段・居室から屋外出口までの距離が制限されている。
    • 階段から出口までの歩行距離は、令120条の数値以下とすること
    • 居室から出口までの歩行距離は、令120条の数値の2倍以下とすること

 

人気記事 転職3回の一級建築士が語る。おすすめ転職サイト・転職エージェント

人気記事 指定確認検査機関に転職する方法3選【確認申請の未経験者もOK】

人気記事 一級建築士試験のおすすめ資格学校・アプリ【総合資格とスタディング】