シックハウス症候群まとめ|症状・原因・対策を一級建築士が徹底解説

シックハウス症候群_まとめ 建築基準法まとめ
  • シックハウス症候群って、どんな症状?
  • 住宅のどの部分に原因がある?
  • 建築設計における防止方法が知りたい。

こんな悩みに答えます。

 

本記事では、シックハウス症候群の症状・原因・対策について、建築基準法をもとに解説。

原因物質であるホルムアルデヒドを発生させないために必要な建築設計の基準を知ることができます。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築基準法の知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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シックハウス症候群とは【建築物が居住者に与える健康被害】

病院

『シックハウス症候群』とは、建築物が居住者の人体に与える健康被害の総称です。

英語のSick House Syndrom(シックハウスシンドローム)が語源。

英単語を直訳すると「病気 家 症候群」となり、建材や家具などに含まれる化学物質によって、病気が引き起こされる状況を意味していますね。

 

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具体的な症状

シックハウス症候群の具体的な症状は、大きく分けて以下の2つ。

  1. 皮膚・目・のど等での刺激症状(目がチカチカする、のどの痛みがある)
  2. 全身の倦怠感、めまい、頭痛・頭重など

※厚生労働省の「室内空気質健康影響研究会」の最新報告(2004年2月)

 

主な原因

シックハウス症候群の主な原因は、化学物質が含まれる建材・家具から発生する有毒ガスです。

✔️ 代表的な化学物質

  • ホルムアルデヒド:合板、壁紙などの接着剤
  • アセトアルデヒド:防カビ剤など
  • トルエン:内装材、家具などの接着剤、塗料
  • キシレン:内装材、家具などの接着剤、塗料
  • エチルベンゼン:内装材、家具などの接着剤、塗料
  • クロルピリホス:防アリ剤など
  • スチレン:ポリスチレン樹脂、合成ゴムなど

どれも揮発性の物質で、気温が高くなるほど発散量が増加。

よって、夏に化学物質の濃度が高くなってしまうことが多いですね。

 

建築設計におけるシックハウス対策

建築基準法に定められたシックハウス症候群への対策は3つ。

  • ホルムアルデヒドを含む建材の制限
  • クロルピリホスの使用禁止
  • 機械換気設備(24時間換気システム)の設置

 

ホルムアルデヒドを含む建材の制限

ホルムアルデヒドを含む建材の使用制限は、建築物の部位ごとに2つの基準があります。

  1. 内装仕上げの面積制限
  2. 天井裏などから居室への流入を防ぐ

 

内装仕上げに使用するホルムアルデヒドを発散する建材の面積制限

内装仕上げに“ホルムアルデヒドを発散する建材”を使用する場合、設置面積が制限されます。

 

✔️ ホルムアルデヒドの発散量による内装仕上げの制限

建築材料の区分 ホルムアルデヒドの発散    (放散速度) JIS、JASなどの 表示記号 内装仕上げの制限
建築基準法の規制対象外の建築材料 5μg/㎡h以下 F☆☆☆☆ 制限なしに使える
第3種ホルムアルデヒド発散建築材料 5μg/㎡h~20μg/㎡h F☆☆☆ 使用面積が制限される
第2種ホルムアルデヒド発散建築材料 20μg/㎡h~120μg/㎡h F☆☆ 使用面積が制限される
第1種ホルムアルデヒド発散建築材料 120μg/㎡h超 設定なし 使用禁止

「内装仕上げ」とは、壁・床・天井の面的な部分。

“廻り縁、窓台に類する部分”は除かれます。

また、軸材(柱など)、巾木、手摺、鴨居、造作部分(長押など)、建具枠、部分的に用いる塗料、接着剤も対象外。

✔️ 規制の対象となる建材

  • 木質建材
  • 合板、木質系フローリング、構造用パネル、集成材、単層積層材(LVL)、MDF、パーティクルボードその他
  • 壁紙、接着剤、保温材、緩衝材、断熱材、塗料、仕上塗材等

 

F☆☆☆☆の建築材料は、使用面積が無制限。どこにでも範囲を気にせず使えます。

ですが、第2種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆)、第3種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆☆)は、次の式を満たすように、居室の内装仕上げの使用面積が制限されます。

 

✔️ F☆☆・F☆☆☆の建築材料を使用するときの制限

  • N2×S2+N3×S3≦A
    • N2,N3:下表の該当する数値
    • S2:第2種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆)の使用面積
    • S3:第3種ホルムアルデヒド発散建築材料(F☆☆☆)の使用面積
    • A:居室の床面積
居室の種類 換気回数 N2 N3
住宅等の居室 0.7回/h以上 1.2 0.2
0.5回/h以上、0.7回/h未満 2.8 0.5
上記以外の居室 0.7回/h以上 0.88 0.15
0.5回/h以上、0.7回/h未満 1.4 0.25
0.3回/h以上、0.5回/h未満 3 0.5

新築住宅では、建材すべてにF☆☆☆☆規格を使用するケースが多くなりましたね。

 

天井裏などから居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐための措置

機械換気設備を設けるにあたって、天井裏・床下・壁内・収納スペース等から居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐ必要があります。

 

具体的には以下の1~3のいずれかの措置を取ること。

  1. 建材による措置:天井裏等に第1種、第2種のホルムアルデヒド発散建築材料を使用しない(F☆☆☆以上とする)
  2. 気密層・通気止めによる措置:気密層または通気止めを設けて天井裏等と居室を区画
  3. 換気設備による措置:居室の換気設備に加えて、天井裏等も換気できるものとする

収納スペースの建具にアンダーカット等を設け、居室と一体的に換気する部分は、居室とみなされ、内装仕上げの制限対象となります。

 

クロルピリホスの使用禁止

居室のある建築物には、しろあり駆除剤のクロルピリホスの使用が禁止されています。

クロルピリホスは有機リン酸系の防蟻剤。

木造建築物の土台に用いられる可能性があるものです。

 

24時間換気システムで換気量を確保

居室のある建築物には、機械換気設備の設置が義務付けられています。

いわゆる24時間換気システムですね。

有害物質を含む建材を使っていない建物でも、家具から発散する危険性があるため、換気計画は非常に重要。

住宅の居室には、換気回数0.5回/h以上の機械換気設備(24時間換気システム等)の設置が必要となります。

✔️ 換気回数の基準

  • 住宅等の居室:0.5回/h以上
  • 上記以外の居室:0.3回/h以上

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シックハウス症候群への対策を建築基準法で読む

シックハウス症候群を引き起こすおそれのある建材に関する制限は、建築基準法28条の2によるもの。

「建築基準法を読みたくない」という場合は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル 建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(石綿その他の物質の飛散又は発散に対する衛生上の措置)

第28条の2 建築物は、石綿その他の物質の建築材料からの飛散又は発散による衛生上の支障がないよう、次に掲げる基準に適合するものとしなければならない。

一 建築材料に石綿その他の著しく衛生上有害なものとして政令で定める物質(次号及び第3号において「石綿等」という。)を添加しないこと。

二 石綿等をあらかじめ添加した建築材料(石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除く。)を使用しないこと。

三 居室を有する建築物にあつては、前ニ号に定めるもののほか、石綿等以外の物質でその居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがあるものとして政令で定める物質の区分に応じ、建築材料及び換気設備について政令で定める技術的基準に適合すること。

建築基準法の施行令20条の5で規制対象となる有害物質が定義されています。

(居室内において衛生上の支障を生ずるおそれがある物質)
第20条の5 法第28条の2第三号の政令で定める物質は、クロルピリホス及びホルムアルデヒドとする。

クロルピリホスの使用制限は、施行令20条の6。

(居室を有する建築物の建築材料についてのクロルピリホスに関する技術的基準)

第20条の6 建築材料についてのクロルピリホスに関する法第28条の2第三号の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。

一 建築材料にクロルピリホスを添加しないこと。

二 クロルピリホスをあらかじめ添加した建築材料(添加したときから長期間経過していることその他の理由によりクロルピリホスを発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたものを除く。)を使用しないこと。

ホルムアルデヒドの規制は、”施行令20条の7”と”施行令20条の8”に書かれています。

(居室を有する建築物の建築材料についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)

第20条の7 建築材料についてのホルムアルデヒドに関する法第28条の2第三号の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。

以下省略

(居室を有する建築物の換気設備についてのホルムアルデヒドに関する技術的基準)

第20条の8 換気設備についてのホルムアルデヒドに関する法第28条の2第三号の政令で定める技術的基準は、次のとおりとする。

一 居室には、次のいずれかに適合する構造の換気設備を設けること。

以下省略

 

まとめ

  • シックハウス症候群とは、建築物が居住者の人体に与える健康被害の総称。
    • 目がチカチカする、のどの痛みがある
    • 全身の倦怠感、めまい、頭痛・頭重
  • 主な原因:化学物質が含まれる建材・家具から発生する有毒ガス。
  • 建築基準法に定められたシックハウス対策は3つ。
    1. ホルムアルデヒドを含む建材の制限
      1. 内装仕上げの面積制限
        • “ホルムアルデヒドを発散する建材”を使用する場合は設置面積が制限。
        • F☆☆☆☆の建築材料は、範囲を気にせず使える。
      2. 天井裏・床下・壁内・収納スペース等から居室へのホルムアルデヒドの流入を防ぐ
        • 天井裏等にはF☆☆☆以上を使用
        • 気密層or通気止めで、天井裏等と居室を区画
        • 居室の換気設備に加えて、天井裏等も換気できるものとする
    2. クロルピリホスの使用禁止
    3. 機械換気設備(24時間換気システム)の設置
      • 住宅の居室には、換気回数0.5回/h以上の機械換気設備が必要。

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