区画避難安全検証法とは|緩和規定やルートBを解説【排煙設備を免除】

区画避難安全検証法 避難規定
  • 区画避難安全検証法(くかくひなんあんぜんけんしょうほう)って何?
  • 区画避難安全検証法の検討方法が知りたい。
  • 排煙設備が免除できるってホント?

こんな疑問や要望に応えます。

本記事では、「区画避難安全検証法」の概要や免除される条項についてわかりやすく解説。

記事を読むことで、検証法に関する基本知識を身につけることができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

Sponsored Links

区画避難安全検証法とは

『区画避難安全検証法』は、建築基準法施⾏令にもとづき、火災が発生した際に、特定の区画(区画部分)にいる人々が安全に避難できることを検証する設計手法。

通常の防火・避難規定(廊下の幅、排煙設備の設置義務など)をそのまま適用する代わりに、火災の発生と避難行動、煙の挙動をシミュレーションし、安全が確保されていることを証明します。

関連記事

 

Sponsored Links

区画避難安全検証法の概要と目的

区画避難安全検証法は、主要構造部が準耐火構造または不燃材料で造られた建築物の区画部分(準耐火構造の床・壁または特定の防⽕設備で区画された空間)に対して適用されます。

この検証により、区画避難安全性能が確保されれば、特定の避難規定(排煙設備、廊下の幅など)の適用が免除に。

  • 区画避難安全性能:火災が発生した室(火災室)において、火災発生時にその区画内にいる人々(在室者および、その区画を通らなければ避難できない者)が、区画外(※)へ避難するまでの間、煙や有害ガスなどによって避難に支障をきたす事態が発生しないこと。
    • 区画外(※):避難階の場合は地上、それ以外の場合は直通階段へ通じる部分。

 

区画避難安全検証法によって免除される主な条項

区画避難安全検証法の適用によって免除される主な条項は、以下のとおり。

排煙設備に関する規定

区画避難安全検証法が適用された区画部分については、排煙設備に関する以下の規定が適用されません
法令条項
規定の概要
令第126条の2
排煙設備の設置義務に関する規定
令第126条の3
排煙設備の構造に関する規定

内装制限に関する規定

特殊建築物等に求められる内装制限に関する規定(令第128条の5)についても、区画避難安全検証法を適用することで免除されます
法令条項
規定の概要
適用除外の範囲に関する注意点
令第128条の5
特殊建築物等の内装制限(自動車車庫等、調理室等を含む)に関する規定
ただし、同条の第2項、第6項及び第7項並びに階段に係る部分を除く
令第128条の5のうち、特に危険性の高い特定の場所(第2項、第6項、第7項および階段)に関する規定は適用される点に注意

避難安全検証法の分類(ルート)

避難安全検証法は、実施する手法によってルートBとルートCに分類されます。

これに対し、従来の仕様規定はルートAと呼ばれますね。

ルート 分類 検証方法 大臣認定の有無 特徴
ルートA 仕様規定 法文に定められた具体的な規定をそのまま適用する。 不要 適用が容易だが、設計の柔軟性に欠ける。
ルートB 性能規定 告示で定められた計算式によって安全性を検証する。 不要 性能が確保できれば一部の規定が適用除外となる。
ルートC 性能規定 告示で定められた計算式以外の方法によって安全性を検証する。 必要 軟な対応が可能だが、検討が難しく手間がかかる。

 

ルートBの分類【ルートB1とB2】

区画避難安全検証法ルートBには、2つの種類があります。

  • ルートB1:避難に要する時間に基づく検証方法
  • ルートB2:煙またはガスの高さに基づく検証方法

 

ルートB1:避難に要する時間に基づく検証方法

「火災の発生から避難が完了するまでに要する時間」が、「煙やガスが避難上支障のある高さまで降下するまでに要する時間」を超えないことを確かめる方法です。

対象となる告示:国土交通省告示509号

 

ルートB2:煙またはガスの高さに基づく検証方法

避難が完了した時点における煙やガスの高さが、避難上支障のある高さ(1.8m)を下回らないことを確かめる方法です。

対象となる告示:国土交通省告示474号

ルートB1とB2の特徴

ルートB1は天井高さが高く床面積が広い居室等で成立しやすく、ルートB2は部屋の形状が整形だと成立しやすい、といった違いがあります。

建築物の設計計画に応じて使い分けましょう。

 

区画避難安全検証法の流れ(ルートB1:告示509号に基づく)

区画避難安全検証法(ルートB1)では、主に2つのステップで計算を行います。

  1. 居室の検証(居室避難安全性能の確認)
  2. 区画の検証(区画避難安全性能の確認)

 

ステップ1:居室の検証(居室避難安全性能の確認)

まず、居室単体で避難安全性を検証します。

1. 居室避難完了時間の計算

  • 居室避難開始時間 (t start(room) ):火災発生から在室者が避難を開始するまでの時間。居室等(居室およびそれを通らなければ避難できない部分)の床面積 (A) に基づいて計算されます。
  • 居室歩行時間 (t travel(room) ):在室者が居室の各部分から出口に達するまでに要する最大時間。歩行距離 (l) と歩行速度 (v) に基づき計算されます。
  • 居室出口通過時間 (t queue(room) ):在室者が居室の出口を通過するために要する時間。床面積 (A)、在館者密度 (p)、有効流動係数 (N) に基づき計算されます。

2. 居室煙降下時間の計算

居室煙降下時間は、火災により生じた煙やガスが、避難上支障のある高さまで降下するまでに要する時間。

計算要素に、居室の用途、床面積 (A)、天井の高さ (H)、排煙設備の構造、壁や天井の仕上げ材料の種類などが含まれます。

煙等発生量 (V s(room) ) は、積載可燃物の火災成長率 (α f )、内装材料の火災成長率 (α m)、床面積 (A)、高さ (H)、限界煙層高さ (H lim ) などに基づいて計算されます。

3. 検証の確認

「居室避難完了時間」が「居室煙降下時間」を超えないことを確かめます。

 

ステップ2:区画の検証(区画避難安全性能の確認)

次に、区画全体で避難安全性を検証します。

1. 区画避難完了時間(RSET)の計算

  • 区画避難開始時間 (t start(comp) ):区画部分にいる者が避難を開始するまでの時間。区画部分の床面積 (A area(comp)) や用途(共同住宅、その他)に応じて計算されます。
  • 区画歩行時間 (t travel(comp)):区画部分の各室から「区画部分以外の部分等」への出口に達するまでに要する最大歩行時間。
  • 区画出口通過時間 (t queue(comp)):区画部分に存する者が、区画外への出口を通過するために要する時間。

2. 区画煙降下時間の計算

区画煙降下時間とは、火災室で火災が発生した場合に、その煙やガスが、火災室以外の居室や廊下などにおいて避難上支障のある高さまで降下するまでに要する時間。

計算要素には、各室の用途、床面積、天井の高さ、壁や開口部の構造、排煙設備の構造、仕上げ材料の種類などが含まれます。

特に、火災室とその他の室を区画する壁や開口部の構造が、煙等の発生量に大きく影響します。

3. 検証の確認

「区画避難完了時間」が「区画煙降下時間」を超えないことを確かめます。

 

区画避難安全検証法について建築基準法を読む

区画避難安全検証法は、建築基準法施行令128条の7に定められています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(避難上の安全の検証を行う区画部分に対する基準の適用)

第百二十八条の七

居室その他の建築物の部分で、準耐火構造の床若しくは壁又は法第二条第九号の二ロに規定する防火設備で第百十二条第十九項第二号に規定する構造であるもので区画されたもの(二以上の階にわたつて区画されたものを除く。以下この条において「区画部分」という。)のうち、当該区画部分が区画避難安全性能を有するものであることについて、区画避難安全検証法により確かめられたもの(主要構造部が準耐火構造である建築物(特定主要構造部が耐火構造である建築物を含む。次条第一項において同じ。)又は主要構造部が不燃材料で造られた建築物の区画部分に限る。)又は国土交通大臣の認定を受けたものについては、第百二十六条の二、第百二十六条の三及び第百二十八条の五(第二項、第六項及び第七項並びに階段に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。

2 前項の「区画避難安全性能」とは、当該区画部分のいずれの室(火災の発生のおそれの少ないものとして国土交通大臣が定める室を除く。以下この章において「火災室」という。)で火災が発生した場合においても、当該区画部分に存する者(当該区画部分を通らなければ避難することができない者を含む。次項第一号ニにおいて「区画部分に存する者」という。)の全てが当該区画部分から当該区画部分以外の部分等(次の各号に掲げる当該区画部分がある階の区分に応じ、当該各号に定める場所をいう。以下この条において同じ。)までの避難を終了するまでの間、当該区画部分の各居室及び各居室から当該区画部分以外の部分等に通ずる主たる廊下その他の建築物の部分において、避難上支障がある高さまで煙又はガスが降下しないものであることとする。

一 避難階以外の階 当該区画部分以外の部分であつて、直通階段(避難階又は地上に通ずるものに限る。次条において同じ。)に通ずるもの

二 避難階 地上又は地上に通ずる当該区画部分以外の部分

3 第一項の「区画避難安全検証法」とは、次の各号のいずれかに掲げる方法をいう。

一 次に定めるところにより、火災発生時において当該区画部分からの避難が安全に行われることを当該区画部分からの避難に要する時間に基づき検証する方法

イ 当該区画部分の各居室ごとに、当該居室に存する者(当該居室を通らなければ避難することができない者を含む。)の全てが当該居室において火災が発生してから当該居室からの避難を終了するまでに要する時間を、当該居室及び当該居室を通らなければ避難することができない建築物の部分(以下このイにおいて「当該居室等」という。)の用途及び床面積の合計、当該居室等の各部分から当該居室の出口(当該居室から当該区画部分以外の部分等に通ずる主たる廊下その他の通路に通ずる出口に限る。)の一に至る歩行距離、当該区画部分の各室の用途及び床面積並びに当該区画部分の各室の出口(当該居室の出口及びこれに通ずる出口に限る。)の幅に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ロ 当該区画部分の各居室ごとに、当該居室において発生した火災により生じた煙又はガスが避難上支障のある高さまで降下するために要する時間を、当該居室の用途、床面積及び天井の高さ、当該居室に設ける排煙設備の構造並びに当該居室の壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ハ 当該区画部分の各居室についてイの規定によつて計算した時間が、ロの規定によつて計算した時間を超えないことを確かめること。

ニ 当該区画部分の各火災室ごとに、区画部分に存する者の全てが当該火災室で火災が発生してから当該区画部分からの避難を終了するまでに要する時間を、当該区画部分の各室及び当該区画部分を通らなければ避難することができない建築物の部分(以下このニにおいて「当該区画部分の各室等」という。)の用途及び床面積、当該区画部分の各室等の各部分から当該区画部分以外の部分等への出口の一に至る歩行距離並びに当該区画部分の各室等の出口(当該区画部分以外の部分等に通ずる出口及びこれに通ずるものに限る。)の幅に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ホ 当該区画部分の各火災室ごとに、当該火災室において発生した火災により生じた煙又はガスが、当該区画部分の各居室(当該火災室を除く。)及び当該居室から当該区画部分以外の部分等に通ずる主たる廊下その他の建築物の部分において避難上支障のある高さまで降下するために要する時間を、当該区画部分の各室の用途、床面積及び天井の高さ、各室の壁及びこれに設ける開口部の構造、各室に設ける排煙設備の構造並びに各室の壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ヘ 当該区画部分の各火災室についてニの規定によつて計算した時間が、ホの規定によつて計算した時間を超えないことを確かめること。

二 次に定めるところにより、火災発生時において当該区画部分からの避難が安全に行われることを火災により生じた煙又はガスの高さに基づき検証する方法

イ 当該区画部分の各居室ごとに、前号イの規定によつて計算した時間が経過した時における当該居室において発生した火災により生じた煙又はガスの高さを、当該居室の用途、床面積及び天井の高さ、当該居室に設ける消火設備及び排煙設備の構造並びに当該居室の壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ロ 当該区画部分の各居室についてイの規定によつて計算した高さが、避難上支障のある高さとして国土交通大臣が定める高さを下回らないことを確かめること。

ハ 当該区画部分の各火災室ごとに、前号ニの規定によつて計算した時間が経過した時における当該火災室において発生した火災により生じた煙又はガスの当該区画部分の各居室(当該火災室を除く。)及び当該居室から当該区画部分以外の部分等に通ずる主たる廊下その他の建築物の部分における高さを、当該区画部分の各室の用途、床面積及び天井の高さ、各室の壁及びこれに設ける開口部の構造、各室に設ける消火設備及び排煙設備の構造並びに各室の壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ニ 当該区画部分の各火災室についてハの規定によつて計算した高さが、避難上支障のある高さとして国土交通大臣が定める高さを下回らないことを確かめること。

 

まとめ

  • 区画避難安全検証法は、火災が発生した際に、特定の区画(区画部分)にいる人々が安全に避難できることを検証する手法。
  • 区画避難安全検証法は、準耐火構造の床・壁または特定の防⽕設備で区画された空間に対して適用される。
  • 区画避難安全検証法ルートBの種類。
    • ルートB1:避難に要する時間に基づく検証方法
    • ルートB2:煙またはガスの高さに基づく検証方法
  • 区画避難安全検証法(ルートB1)では、主に2つのステップで計算を行う。
    1. 居室の検証
    2. 区画の検証

人気記事 転職3回の一級建築士が語る。おすすめ転職サイト・転職エージェント

人気記事 副業ブログで月5万円を目指すには? 始め方とおすすめの収益化方法

人気記事 一級建築士試験のおすすめ資格学校・アプリ【総合資格とスタディング】