- バルコニーに格子を設けたら床面積に算入される?
- 開放性の高い格子であれば、不算入でOK?
こんな疑問に答えます。
本記事では、バルコニーに格子を設けたときの床面積の算定についてQ&A形式で解説。
主に戸建て住宅の設計をしている方で、バルコニーに目隠しをつくりたいときに役立つ情報かと。
このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営しています。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識を、できるだけわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。
バルコニーに格子を設けると床面積算入?【算入するのが原則】
バルコニーに格子を設置すると、原則は床面積算入。
バルコニーに格子があることにより開放性が阻害されます。 つまり、格子で囲まれた範囲は、屋内的な用途がある部分とみなされて、床面積算入となるのが一般的。
もちろん格子がなく、バルコニーが外気に開放されている場合は、床面積には不算入ですね。
例えば、「格子が設置されたバルコニー」は、こんなイメージ。
バルコニーの床面積は、以下の計算式を満たす”高い開放性があるかどうか”で決まります。
格子などの遮蔽物を設けることによって、開放性が阻害されるため床面積算入となるわけですね。
特定行政庁によっては、格子があっても床面積不算入となるケースあり
建設予定の地域によっては、一定の条件を満たすと床面積不算入となるケースがあります。
格子のあるバルコニーの開放性について、特定行政庁が建築基準法の取り扱いを定めている例を見てみましょう。
京都市:格子のあるバルコニーの床面積算定について
下記の条件を満たすものは,外気に有効に開放された廊下等として取扱う。
また,採光及び排煙については,下記の条件を満たせばルーバー等がないものとする。
ただし,消防法の取扱いについては,別途確認が必要である。
京都市では上記のような取り扱いがありますが、設計者による不利側検討で「格子部分を床面積に算入する」のであれば、確認検査機関も否定はしないでしょう。
不利側検討って?
床面積が増えると、容積率など建築基準法の規制が厳しくなりますよね。
不利な数値で検討しても法律に適合するのであれば「不利側検討により問題はない」ということ。
容積率に余裕があるのであれば、格子に囲まれたバルコニーは床面積に算入しておくのが無難ですね。
京都市以外の申請地でも同じような取り扱いがあるかどうかを調べるには、以下の方法があります。
- 各市町村のホームページに建築基準法の取り扱い集がないか検索する
⇒ 例: 「〇〇市 建築基準法取り扱い」で検索 - 書籍:「プロのための主要都市建築法規取扱基準」で調べる ←おすすめ
書籍「プロのための主要都市建築法規取扱基準」で地域ごとの建築基準法取り扱いを調べる
「プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版」は、特定行政庁ごとの主な建築基準法取り扱いをまとめた書籍です。
例えば、床面積の算定について、計画地の特定行政庁はどのような建築基準法の取り扱いをしているか簡単に調べることが可能。
また、「プロのための主要都市建築法規取扱基準」で調べた結果、計画地に明確な基準がないということがわかれば、設計者や確認検査機関の判断が重視されます。
こういった地域ごとの法解釈のバラつきを調べられると、見知らぬ土地で建物を設計する場合でも不安を感じずに済みますね。
確認検査員も参考にしている書籍ですので、申請をスムーズに通すためには読んでおいて損はないかと。
まとめ
- バルコニーに格子を設けると、原則は床面積に算入
- 建築基準法取り扱いにより、一定の条件を満たせば、床面積不算入にできる地域もある
- 書籍「プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版」を有効活用し、地域ごとの建築基準法取り扱いを調べる