ベントキャップとは|役割・サイズ・選び方を建築基準法をもとに解説

ベントキャップ 建築基準法まとめ
  • ベントキャップって何?
  • 換気口の直径によって違いはある?
  • ベントキャップの役割は?

こんな疑問や要望に答えます。

本記事では、建築設備の「ベントキャップ」についてわかりやすく解説。

ベントキャップの役割や設置対象となる建築物について、建築基準法をもとに理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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ベントキャップとは

ベントキャップとは、建物の換気口や排気口の屋外側に取り付ける保護カバーです。

排気フードや換気フードとも呼ばれますね。

たとえば、住宅における設置箇所は以下のとおり。

  • キッチンのレンジフード(換気扇)の排気口
  • 浴室・トイレの換気扇の排気口
  • 24時間換気システムの給気口・排気口
  • エアコンの配管を通すスリーブ穴のカバー(エアカットバルブ付きのものも)
  • 各部屋の給気口

 

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ベントキャップの役割

ベントキャップの主な役割は以下のとおり。

  • 雨風の侵入防止
  • 虫・鳥・ゴミの侵入防止
  • 防火性能の確保

雨風の侵入防止

換気口から雨や強い風が直接吹き込むのを防ぎます。

ベントキャップがないと、室内にに雨水が入り込み、建材の腐食やカビ、雨漏りの原因になります。

虫・鳥・ゴミの侵入防止

ベントキャップは、網(防虫網)がセットになっている仕様が一般的。

虫や鳥などの異物がダクト内に侵入するのを防ぎます。

防火性能の確保

直径100㎜以下のの給排気口であれば、ステンレス製のベントキャップが、建物周囲の火災に対する防火設備として機能します。

準防火地域または防火地域では、延焼ライン内の開口部に防火設備が必要です。

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ベントキャップの種類・選び方

ベントキャップは、形状や材質、機能によって様々な種類があります。

形状

形状 特徴 メリット デメリット
丸形(フード) 最も一般的で普及しているタイプ。お椀を伏せたような形。
  • 防風、防雨性能が高い
  • 価格が比較的安い
デザインの選択肢が少ない
角形(ガラリ) 羽板(はいた)が斜めに重なった形状。モダンな住宅に人気。
  • デザイン性が高く、外壁に馴染む
  • 薄型で出っ張りが少ない
丸形に比べると、横殴りの雨にやや弱い場合がある
U字形(深型) 丸形よりもフード部分が深く、下向きに曲がっている形状。
  • 防風、防雨性能が非常に高い
  • 風の強い場所や沿岸部におすすめ
  • サイズが大きくなりがち
  • 価格が比較的高め
フラット型(薄型) 壁からの出っ張りがほとんどない、スタイリッシュなデザイン。
  • 見た目がスッキリする
  • 雪が積もりにくい(積雪地域にも)
製品によっては排気効率がやや劣る場合がある

 

材質

材質 特徴 メリット デメリット
ステンレス 最も広く使われている定番の材質。 耐久性、耐食性(サビにくさ)が非常に高い 樹脂製に比べると高価
アルミ 軽量で加工しやすい。
  • ステンレス同様サビに強い
  • 比較的安価
ステンレスに比べると強度はやや劣る
樹脂(プラスチック) 安価でカラーバリエーションが豊富。
  • 価格が安い
  • デザインや色が豊富
紫外線による経年劣化で変色や割れが起こりやすい
ガルバリウム鋼板 デザイン性の高い外壁材と合わせて使われることが多い。
  • デザイン性が高く、外壁と統一感が出せる
  • サビに強い
表面に傷がつくと、そこからサビが発生することがある

 

機能

機能 特徴
防虫網付き ゴキブリやハチなどの虫の侵入を防ぎます。ほとんどの製品に標準で付いていますが、網の目の細かさ(メッシュ数)も確認すると良いでしょう。
防火ダンパー付き キッチンなど火気を使用する場所の換気口に設置が義務付けられている場合があります。火災の熱を感知すると自動でダクトを閉鎖し、炎や煙の延焼を防ぎます。
防音・消音タイプ 内部に吸音材が入っており、外部の騒音(車の音など)が室内に入ってくるのを軽減します。幹線道路沿いの家などにおすすめです。
風圧式シャッター付き 換気扇が停止しているときに、外からの風でシャッターが閉じる仕組み。室内の気密性を高め、外気の逆流をしっかり防ぎたい場合に有効です。

 

メンテナンス方法

ベントキャップは外部に設置されるため、定期的なメンテナンスが必要です。

ホコリが詰まると換気効率が落ちますね。

清掃する際は、中性洗剤と柔らかいブラシで優しく汚れを落としましょう。

 

よくあるトラブルと対策

ベントキャップについてよくあるトラブルと対策をまとめました。

トラブル例 原因 対策
雨漏り 防水構造が甘い・経年劣化 ベントキャップの交換
虫や小動物の侵入 網が破れている・網なしタイプ使用 防虫網付への交換と定期点検
異臭がする ゴミ詰まり・換気不足 掃除や点検、必要に応じてサイズアップ
サビ・劣化 金属製品の経年劣化 ステンレス製/樹脂製など耐腐食性素材へ

 

【Q&A】防火ダンパー(FD)の要否について

Q. 準防火または防火地域にある建築物で、延焼ライン内にベントキャップを設ける場合、防火ダンパー(FD)の要否はどのような基準ですか?
A. 防火ダンパー(FD)の要否は、開口部の面積が基準となります。具体的には、開口面積が100cm²以下かどうかが分かれ目です。

開口面積が100cm²以下の場合、防火ダンパー(FD)は不要。

スレンレスなどのベントキャップ(防火覆い:防火性能のあるカバー)を設置すればOKです。

100φのベントキャップ(直径100mm)は、面積が100cm²以下のためFD不要。

開口面積が100cm²を超える場合、防火ダンパー(FD)付きのベントキャップが必要です。

たとえば、キッチンによく用いる150φの換気口は、面積が100cm²を超えるため、FD付きにする必要があります。

 

建築基準法を読む

ベントキャップの防虫網については、建築基準法施行令129条の2の5に定められています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(換気設備)
第百二十九条の二の五 建築物(換気設備を設けるべき調理室等を除く。以下この条において同じ。)に設ける自然換気設備は、次に定める構造としなければならない。

一~五 省略

六 給気口及び排気口並びに排気筒の頂部には、雨水の浸入又はねずみ、虫、ほこりその他衛生上有害なものの侵入を防ぐための設備を設けること。

以下省略

 

まとめ

  • ベントキャップとは、建物の換気口や排気口の屋外側に取り付ける保護カバー。
  • ベントキャップの主な役割
    • 雨風の侵入防止
    • 虫・鳥・ゴミの侵入防止
    • 防火性能の確保
  • 防火/準防火地域における防火ダンパー(FD)の要否について
    • 開口面積が100cm²以下:鋼製のベントキャップでOK。防火ダンパー(FD)は不要。
    • 開口面積が100cm²超:防火ダンパー(FD)付きのベントキャップが必要。

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