階避難安全検証法とは|緩和規定・ルートBの概要をわかりやすく解説

階避難安全検証法 避難規定
  • 階避難安全検証法(かいひなんあんぜんけんしょうほう)って何?
  • 階避難安全検証法で緩和される規定は?
  • 検証の流れが知りたい。

こんな疑問や要望に応えます。

本記事では、「階避難安全検証法」の概要や免除される条項についてわかりやすく解説。

記事を読むことで、階避難安全検証法の基本知識を身につけることができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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階避難安全検証法とは

階避難安全検証法は、建築基準法施行令に規定された、建築物の階からの避難の安全性を検証する方法です。

これは、仕様規定(例:廊下の幅や直通階段までの距離など)に代わり、火災発生時の避難の安全性を工学的な手法を用いて確かめる「性能規定」の一つ。

この検証法が適用できるのは、主要構造部が準耐火構造の建築物、または不燃材料で造られた建築物に限られています。

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検証の目的と免除される規定

階避難安全検証法の目的は、対象の階における「階避難安全性能」の確認です。

階避難安全性能:当該階のいずれの室で火災があった場合でも、その階にいる全ての人々が、直通階段(避難階では地上)への避難を完了するまでの間、各居室や廊下などにおいて、避難上支障のある高さまで煙またはガスが降下しないことを指す。

この性能が検証法により確かめられた場合、その階に対しては、避難に関する一部の仕様規定の適用が免除されます。

階避難安全検証法で緩和される主な規定

  • 廊下の幅(令第119条)
  • 直通階段までの歩行距離(令第120条)
  • 特別避難階段の構造の一部(令第123条第3項の一部)
  • 排煙設備(令第126条の2、第126条の3)

 

階避難安全検証法の検証ルートとは

階避難安全検証法は、実施する手法によってルートBとルートCに分類されます。

これに対し、従来の仕様規定はルートAと呼ばれますね。

ルート 分類 検証方法 大臣認定の有無 特徴
ルートA 仕様規定 法文に定められた具体的な規定をそのまま適用する。 不要 適用が容易だが、設計の柔軟性に欠ける。
ルートB 性能規定 告示で定められた計算式によって安全性を検証する。 不要 性能が確保できれば一部の規定が適用除外となる。
ルートC 性能規定 告示で定められた計算式以外の方法によって安全性を検証する。 必要 軟な対応が可能だが、検討が難しく手間がかかる。

 

ルートBの分類:B1とB2

ルートBの階避難安全検証法は、さらに「B1」と「B2」に分けられます。これは、告示で定められた計算式(検証方法)の違いによるもの。

いずれかを検証して適合すればOKです。

 

ルートB1:時間に基づく検証

ルートB1は、避難に要する時間(t a )と、煙等が避難に支障のある高さまで降下するのに要する時間(t v )を算出し、「t a≦t v」であることを確かめる方法です。

計算方法については「階からの避難に要する時間に基づく階避難安全検証法に関する算出方法等を定める件」(平成12年建設省告示第1441号)に規定。

天井高さが高く、床面積が広い居室等で成立しやすい傾向がありますね。

 

ルートB2:煙の高さに基づく検証

ルートB2は、避難完了時点における煙層の下端の高さ(Z)を算出し、これが避難上支障のある高さ(H lim)を下回らないこと(Z≧H lim)を確かめる方法です。

計算方法については「火災により生じた煙又はガスの高さに基づく階避難安全検証法に関する算出方法等を定める件」(令和3年国土交通省告示第475号)に規定。

部屋の形状が整形だと成立しやすい傾向がありますね。

 

階避難安全検証法の流れ【ルートB1/B2】

階避難安全検証法では、「居室レベルの検証」と「階レベルの検証」の二段階で安全性を確認します。

ここでは、各検証における主な要素を紹介します。

ルートB1:避難時間に基づく検証(告示1441号等)

居室レベルの検証

避難上の安全性が確保されるためには、「居室避難完了時間」が「居室煙降下時間」を超えないことを確かめる必要があります。

居室避難完了時間は、以下の時間の合計。

居室避難開始時間
(t start(room))
火災が発生してから在室者が避難を開始するまでの時間。当該居室等の床面積 (A) などに基づいて計算されます。
歩行時間
(t travel(room) )
在室者が居室の各部分から居室の出口に達するまでに要する最大時間。歩行距離 (l) と歩行速度 (v) に基づき算出されます。歩行速度は、階段や居室の種類、避難の方向に応じて定められています。
居室出口通過時間
(t queue(room) )
在室者が居室の出口を通過するために要する時間。在館者密度 (p)、床面積 (A)、および居室の各出口の有効流動係数 (N) や幅 (B) などから算出されます。
居室煙降下時間
(ts(room)​)
居室において発生した火災により生じた煙等が、避難上支障のある高さ(限界煙層高さ Hlim​)まで降下するために要する時間。火災の成長率 (αf​, αm​)、床面積 (A)、天井高 (H)、および有効排煙量 (Ve​) などに基づいて計算されます。

 

階レベルの検証

火災室を除く廊下や他の居室など、当該階全体における避難経路の安全性を検証します。

階避難完了時間 階に存する者全員が火災室で火災が発生してから当該階からの避難を終了するまでに要する時間。当該階の各室等の用途や床面積、歩行距離、出口幅などに応じて計算されます。
階煙降下時間 ルートB1(時間ベース)では、火災室で発生した煙等が、火災室以外の居室や廊下などで避難上支障のある高さまで降下するために要する時間(階煙降下時間)を計算します。

 

ルートB2:煙の高さに基づく検証(告示475号)

居室レベルの検証

ルートB2では、「居室避難完了時間」を算出し、その時間が経過した時点での「居室煙層下端高さ (Z)」を計算します。

計算された居室煙層下端高さが1.8mを下回らないことを確かめるもの。

居室避難完了時間 居室避難開始時間と居室出口通過時間を合計して算出。使用される計算式や係数(内装燃焼係数 k、居室出口滞留時間 tcrowd(room)​など)は告示475号に定められています。
居室煙層下端高さ (Z) 居室避難完了時間が経過した時における煙またはガスの高さ。居室の煙層上昇温度 (ΔTr,room​)、煙層密度 (ρr,room​)、熱発生量 (Q)、有効排煙量 (Ve​) などに基づいて計算されます。
避難上支障のある高さ (H lim) 1.8mと定められています。

 

階レベルの検証

「階避難完了時間」が経過した時点における、煙やガスの高さ(煙層下端高さ)を、火災室を除く他の居室や廊下などの避難経路で計算。

階避難完了時間 各火災室ごとに、その階にいる全ての人々が火災発生から直通階段(または地上)までの避難を終えるまでに要する時間(階避難完了時間)を計算します。階全体の避難開始時間、歩行時間、階出口通過時間が含まれます。
煙の高さ 1.8mとされています。計算には、火災室からの熱気流の運搬熱量 (Qf,floor​)、質量流量 (mf,floor​)、開口部の開口率 (Cd​)、および壁の保有遮炎時間などが関わります。

この計算された煙層下端高さが、国⼟交通⼤⾂が定める避難上支障のある高さ(1.8m)下回らないことを確認します。

 

「階避難安全検証法」について建築基準法を読む

「階避難安全検証法」について、建築基準法施行令129条に書かれています。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(避難上の安全の検証を行う建築物の階に対する基準の適用)

第百二十九条

建築物の階(物品販売業を営む店舗の用途に供する建築物にあつては、屋上広場を含む。以下この条及び次条第四項において同じ。)のうち、当該階が階避難安全性能を有するものであることについて、階避難安全検証法により確かめられたもの(主要構造部が準耐火構造である建築物又は主要構造部が不燃材料で造られた建築物の階に限る。)又は国土交通大臣の認定を受けたものについては、第百十九条、第百二十条、第百二十三条第三項第一号、第二号、第十号(屋内からバルコニー又は付室に通ずる出入口に係る部分に限る。)及び第十二号、第百二十四条第一項第二号、第百二十六条の二、第百二十六条の三並びに第百二十八条の五(第二項、第六項及び第七項並びに階段に係る部分を除く。)の規定は、適用しない。

2 前項の「階避難安全性能」とは、当該階のいずれの火災室で火災が発生した場合においても、当該階に存する者(当該階を通らなければ避難することができない者を含む。次項第一号ニにおいて「階に存する者」という。)の全てが当該階から直通階段の一までの避難(避難階にあつては、地上までの避難)を終了するまでの間、当該階の各居室及び各居室から直通階段(避難階にあつては、地上。以下この条において同じ。)に通ずる主たる廊下その他の建築物の部分において、避難上支障がある高さまで煙又はガスが降下しないものであることとする。

3 第一項の「階避難安全検証法」とは、次の各号のいずれかに掲げる方法をいう。

一 次に定めるところにより、火災発生時において当該建築物の階からの避難が安全に行われることを当該階からの避難に要する時間に基づき検証する方法

イ 当該階の各居室ごとに、当該居室に存する者(当該居室を通らなければ避難することができない者を含む。)の全てが当該居室において火災が発生してから当該居室からの避難を終了するまでに要する時間を、当該居室及び当該居室を通らなければ避難することができない建築物の部分(以下このイにおいて「当該居室等」という。)の用途及び床面積の合計、当該居室等の各部分から当該居室の出口(当該居室から直通階段に通ずる主たる廊下その他の通路に通ずる出口に限る。)の一に至る歩行距離、当該階の各室の用途及び床面積並びに当該階の各室の出口(当該居室の出口及びこれに通ずるものに限る。)の幅に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ロ 当該階の各居室ごとに、当該居室において発生した火災により生じた煙又はガスが避難上支障のある高さまで降下するために要する時間を、当該居室の用途、床面積及び天井の高さ、当該居室に設ける排煙設備の構造並びに当該居室の壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ハ 当該階の各居室についてイの規定によつて計算した時間が、ロの規定によつて計算した時間を超えないことを確かめること。

ニ 当該階の各火災室ごとに、階に存する者の全てが当該火災室で火災が発生してから当該階からの避難を終了するまでに要する時間を、当該階の各室及び当該階を通らなければ避難することができない建築物の部分(以下このニにおいて「当該階の各室等」という。)の用途及び床面積、当該階の各室等の各部分から直通階段への出口の一に至る歩行距離並びに当該階の各室等の出口(直通階段に通ずる出口及びこれに通ずるものに限る。)の幅に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ホ 当該階の各火災室ごとに、当該火災室において発生した火災により生じた煙又はガスが、当該階の各居室(当該火災室を除く。)及び当該居室から直通階段に通ずる主たる廊下その他の建築物の部分において避難上支障のある高さまで降下するために要する時間を、当該階の各室の用途、床面積及び天井の高さ、各室の壁及びこれに設ける開口部の構造、各室に設ける排煙設備の構造並びに各室の壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ヘ 当該階の各火災室についてニの規定によつて計算した時間が、ホの規定によつて計算した時間を超えないことを確かめること。

二 次に定めるところにより、火災発生時において当該建築物の階からの避難が安全に行われることを火災により生じた煙又はガスの高さに基づき検証する方法

イ 当該階の各居室ごとに、前号イの規定によつて計算した時間が経過した時における当該居室において発生した火災により生じた煙又はガスの高さを、当該居室の用途、床面積及び天井の高さ、当該居室に設ける消火設備及び排煙設備の構造並びに当該居室の壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ロ 当該階の各居室についてイの規定によつて計算した高さが、避難上支障のある高さとして国土交通大臣が定める高さを下回らないことを確かめること。

ハ 当該階の各火災室ごとに、前号ニの規定によつて計算した時間が経過した時における当該火災室において発生した火災により生じた煙又はガスの当該階の各居室(当該火災室を除く。)及び当該居室から直通階段に通ずる主たる廊下その他の建築物の部分における高さを、当該階の各室の用途、床面積及び天井の高さ、各室の壁及びこれに設ける開口部の構造、各室に設ける消火設備及び排煙設備の構造並びに各室の壁及び天井の仕上げに用いる材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により計算すること。

ニ 当該階の各火災室についてハの規定によつて計算した高さが、避難上支障のある高さとして国土交通大臣が定める高さを下回らないことを確かめること。

 

まとめ

  • 階避難安全検証法は、建築物の階からの避難の安全性を検証する方法。
  • 検証法により安全が確かめられた場合、その階に対しては、避難に関する一部の規定の適用が免除される。
  • 階避難安全検証法は、実施する手法によってルートBとルートCに分類される。

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