防火・準防火地域・22条区域まとめ|主要構造部・開口部の設計基準

防火地域・準防火地域・22条区域まとめ 集団規定
  • 防火地域・準防火地域・法22条区域における建築基準法の制限について、違いを知りたい。
  • 耐火建築物にする必要がある建物の規模は?
  • どの地域でも延焼ラインにある窓は防火設備が必要?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では、建築物に防火上の制限がかかる3つの地域について、設計基準をわかりやすく解説。

✔️ 建築物に防火規制のかかる地域(区域)

  • 防火地域
  • 準防火地域
  • 22条区域

主要構造部(外壁・屋根など)の耐火仕様に直結するため、市街地で建築物を設計する方にとって欠かせない知識です。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで、1000件以上の設計相談を受けて得た建築基準法の知識をわかりやすくまとめていくので、ご参考までにどうぞ。

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防火地域・準防火地域・法22条区域の制限【一覧表】

防火地域・準防火地域・法22条区域では、建築基準法による防火上の制限がかかります。

各地域ごとの建築物に対する構造制限を比較すると以下のとおり。

 

✔️ 防火地域内の構造制限

延べ面積<100㎡ 100㎡≦延べ面積
(地上の)階数≧3 耐火建築物等 耐火建築物等
(地上の)階数2

または

階数1

以下のいずれかの建築物

  • 耐火建築物
  • 準耐火建築物等

耐火建築物

 

✔️ 準防火地域の構造制限

延べ面積≦500㎡ 500㎡≦延べ面積≦1500㎡ 1500㎡<延べ面積
(地上の)階数≧4 耐火建築物等 耐火建築物等 耐火建築物等
(地上の)階数3
  • 耐火建築物
  • 準耐火建築物等
  • 防火上必要な基準に適合する建築物
  • 耐火建築物
  • 準耐火建築物等
耐火建築物等
(地上の)階数≦2
  • 耐火建築物
  • 準耐火建築物等
耐火建築物等

 

✔️ 法22条区域の構造制限

屋根(法22条) 外壁(法23条)
すべての建築物
  • 不燃材料で造る
  • 不燃材料でふく
  • 大臣認定を受けた材料を用いる
木造建築物等

(主要構造部のうち、壁・柱・はりで自重または積載荷重を支える部分に木材・プラスチック等の可燃材料を用いたもの)

延焼ライン内にある外壁は以下のいずれかとする。

  • 屋内側に石膏ボード9.5㎜以上、屋外側は土塗り
  • 大臣認定を受けた仕様

制限の厳しさでいえば、防火地域>準防火地域>法22条区域の順ですね。

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『防火地域』の設計基準

『防火地域』は、官公庁など重要施設が集中するエリア指定され、市街地における火災拡大を防ぐために、建築物に対して厳しい防火規制が掛けられています。

特に、以下の3つの規制に注意しましょう。

  • 建築物の構造制限
  • 屋根の制限
  • 外壁開口部の制限

詳しくは、防火地域とは|建築基準法による建物への制限を解説【木造は要注意】という記事をご確認ください。

防火上の基準が緩和される条件も紹介しています。

防火地域とは|建築基準法による建物への制限を解説【木造は要注意】
防火地域って何? 建築物を設計するときに、どんな制限がかかる? 防火地域内に木造を建築することは可能? こんな疑問に答えます。 本記事では、建築基準法における防火地域の制限について解説。 防火地域内での建築物に対する制限は、非常に厳しいもの...

 

『準防火地域』の設計基準

準防火地域は都市部を中心に、密度の高い市街地に多く指定され、火災による延焼を抑えるための規制が建築物に適用されます。

特に、6つの部位への制限に注意。

  • 建築物の構造
  • 屋根
  • 外壁
  • 軒裏
  • 延焼ライン内にある開口部
  • 塀、門

詳しい設計基準は、準防火地域とは|延焼ライン内の開口部制限・耐火建築物の要否を解説という記事をご確認ください。

準防火地域とは|延焼ライン内の開口部制限・耐火建築物の要否を解説
準防火地域って何? 延焼ライン内の窓は防火設備が必要? 耐火建築物にしなければいけない建物の規模が知りたい。 こんな疑問に答えます。 本記事では『準防火地域』における建築基準法の制限について、わかりやすく解説。 準防火地域内で建築物を設計す...

 

『法22条区域』の設計基準

(建築基準法)22条区域は、防火地域および準防火地域以外で、火災による建築物の延焼を防ぐために特定行政庁が指定します。

火事による火の粉から建物を守ることが目的。

建築物における以下の部分に防火性能が求められます。

  • 屋根
  • 木造建築物等の外壁

詳しくは、『22条区域』とは|屋根・外壁(木造)における建築基準法の制限という記事にまとめています。

『22条区域』とは|屋根・外壁(木造)における建築基準法の制限
『22条区域』って何? 22条区域に建物を建てるとき、どんな制限がかかる? 外壁や軒裏に求められる防火仕様が知りたい。 こんな疑問に答えます。 本記事では、建築基準法22条にもとづく区域、いわゆる『22条区域』の防火制限について解説。 主に...

 

防火・準防火地域・22条区域の制限を建築基準法で読む

防火地域および、準防火地域に関する建築制限は、建築基準法を以下の順で読み進めます。

  • 建築基準法61条
  • 建築基準法 施行令136条の2
  • 国土交通省 告示第194号

法22条区域の制限は、建築基準法の以下の条項に書かれています。

  • 法22条:屋根の制限
  • 法23条:木造建築物等の外壁の制限

「建築基準法はあまり読みたくない…」という方は、建築法規PRO2024 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2024といった書籍で、図や表を見て理解するのがおすすめです。

 

まとめ

  • 防火地域は、主に商業地や官公庁などの重要施設が集中するエリアで、火災を高度に防止すべき地域。
    • 防火地域内における建築基準法の制限
      • 建築物の構造制限
      • 屋根の制限
      • 外壁開口部の制限
  • 準防火地域は、火災の延焼速度を抑えるための規制が建築物に適用される地域。
    • 以下の6つの部位に対して建築基準法の制限が適用される。
      • 建築物の構造
      • 屋根
      • 外壁
      • 軒裏
      • 延焼ライン内にある開口部
      • 塀、門
  • 22条区域は、市街地の火災拡大を防ぐために特定行政庁が指定した区域。
    • 22条区域では、以下の部分に防火性能が求められる。
      • 屋根
      • 木造建築物等の外壁

 

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