設計住宅性能評価書とは|取得方法と時期を解説【住宅ローン控除】

設計住宅性能評価書 品確法・省エネ法
  • 設計住宅性能評価書って何?
  • 性能評価書はいつもらえる?
  • 住宅ローン控除に必要?

こんな疑問や要望に答えます。

本記事では、「設計住宅性能評価書(せっけいじゅうたくせいのうひょうかしょ)」についてわかりやすく解説。

記事を読むことで、設計住宅性能評価書の取得方法や取得時期、利用方法を理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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設計住宅性能評価書とは

設計せっけい住宅性能評価書』とは、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法ひんかくほう)」に基づき、指定住宅性能評価機関が住宅の設計図書を審査し、特定の基準に関する評価結果を示した書類です。

指定住宅性能評価機関:住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づき、国土交通大臣が指定した第三者機関で、住宅の性能を評価する業務を行う機関。

「設計住宅性能評価書」を取得することで、住宅の品質や性能が専門の第三者機関によって確認されていることが証明され、住宅購入者や建築主は安心して住宅を選択・建築できます。

この評価書を取得していると、住宅ローンの金利優遇や火災保険料の割引など、お得なサービスも受けられますね。

 

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住宅ローン控除を受けるときの役割

設計住宅性能評価書は、住宅ローン控除を受ける際に重要な役割を果たします。

1 省エネ基準の適合証明 住宅ローン控除を受けるためには、住宅が省エネ基準を満たしている必要があります。設計住宅性能評価書は、住宅がこれらの基準を満たしていることを証明する書類の一つです。
2 控除額の増加 設計住宅性能評価によって、省エネ性能が高いと認められた住宅は、住宅ローン控除の対象となる借入限度額が増加する場合があります。
3 手続きの簡素化 設計住宅性能評価書を取得していると、住宅ローン控除の申請手続きがスムーズに進むことが多いです。必要な書類が揃っているため、税務署への提出が簡単になります。

性能評価制度を利用することで、住宅ローン控除を最大限に活用できますね。

 

建設住宅性能評価書との違い

設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」は、それぞれ異なる段階での評価を示しています。

設計住宅性能評価書

1 段階 設計段階での評価。
2 内容 建物の設計図が、性能基準を満たしているかどうかを評価。
3 目的 設計図面どおりに建物が完成した際、一定の性能を発揮することを確認するため。
4 取得のメリット 設計段階で住宅の性能を確認できるため、施工前に必要な設計変更を行うことでリスクを低減できる。

建設住宅性能評価書

1 段階 施工段階から完成後にかけての評価。
2 内容 実際に建築された住宅が、設計図どおりに性能基準を満たしているかどうかを確認。
3 目的 実際の建物が設計通りに施工されているかどうか確認するため。
4 取得のメリット 施工段階から性能が確認されているため、購入者や入居者が安心できる。

両方の評価書を取得することで、住宅の設計と建設の両方の段階での品質が確認できるわけですね。

 

設計住宅性能評価書の見本

設計住宅性能評価書の見本は以下のとおり。

設計住宅性能評価書_見本
出典:国土交通省

 

設計住宅性能評価書の等級一覧

設計住宅性能評価書で評価する分野をまとめると、以下のとおり。

評価分野 キーワード
1 構造の安定に関すること 耐震性、地盤、基礎の構造、地震、防風、積雪対策
2 火災時の安全に関すること 耐火性、警報機器の設置、延焼防止への対策
3 劣化の軽減に関すること 建物の耐久性、木材の腐朽やシロアリ被害の軽減
4 維持管理・更新への配慮に関すること 給排水・ガスなどの配管の点検、清掃、補修のしやすさ
5 温熱環境・エネルギー消費量に関すること 断熱性、気密性、建物の省エネルギー性能
6 空気環境に関すること 化学物質への対策、使用する建材や換気方法
7 光・視環境に関すること 開口率、方位別開口比、良好な日照、通風、眺望
8 音環境に関すること 床衝撃音、外部騒音に対する対策
9 防犯対策に関すること バルコニーや窓などへの侵入防止対策
10 高齢者への配慮に関すること バリアフリー性、介護のしやすさ

住宅性能評価制度の等級について一覧表にまとめました。

1 構造の安定に関すること
1-1
必須
耐震等級(構造躯体の倒壊等防止) 地震に対する構造躯体の倒壊、崩壊等のしにくさを等級で表示
1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止) 地震に対する構造躯体の損傷の生じにくさを等級で表示
1-3
必須
その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) 免震建築物であるか否かを表示
1-4 耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) 暴風に対する構造躯体の倒壊等及び損傷の生じにくさを等級で表示
1-5 耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止) 屋根の積雪に対する構造躯体の倒壊、崩壊等及び損傷の生じにくさを等級で表示
1-6
必須
地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法 地盤又は杭の耐力及び地盤に見込んでいる耐力の根拠を表示
1-7
必須
基礎の構造方法及び形式等 直接基礎の構造及び形式又は杭基礎の杭種、杭径及び杭長を表示
2 火災時の安全に関すること
2-1 感知警報装置設置等級(自住戸火災時) 評価対象住戸において発生した火災の早期の覚知のしやすさを等級で表示
2-2 感知警報装置設置等級(他住戸等火災時) 評価対象住戸の同一又は直下の階にある他住戸等において発生した火災の早期の覚知のしやすさを等級で表示
2-3 避難安全対策(他住戸等火災時 共用廊下) 評価対象住戸の同一階又は直下の階にある他住戸等の火災時における避難のための共用廊下の対策について3項目で表示
 2-4 脱出対策(火災時) 通常の歩行経路が使用できない場合の緊急的な脱出のための対策を表示
 2-5 耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部)) 延焼のおそれのある部分の開口部に係る火災による火炎を遮る時間の長さを等級で表示
 2-6 耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外) 延焼のおそれのある部分の外壁等 (開口部以外) に係る火災による火熱を遮る時間の長さを等級で表示
 2-7 耐火等級(界壁及び界床) 住戸間の界壁及び界床に係る火災による火熱を遮る時間の長さを等級で表示
3 劣化の軽減に関すること
 3-1
必須
劣化対策等級(構造躯体等) 構造躯体等の大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要な対策の程度を等級で表示
4 維持管理・更新への配慮に関すること
 4-1
必須
維持管理対策等級(専用配管) 専用の給排水管・給湯管及びガス管の清掃、点検及び補修を容易とするために必要な対策の程度を等級で表示
 4-2
必須
維持管理対策等級(共用配管) 共用の給排水管・給湯管及びガス管の清掃、点検及び補修を容易とするため必要な対策の程度を等級で表示
 4-3
必須
更新対策(共用排水管) 共用排水管の更新を容易とするための必要な対策について2項目で表示
 4-4 更新対策(住戸専用部) 住戸専用部の間取りの変更を容易とするため必要な対策について2項目で表示
5 温熱環境・エネルギー消費量に関すること 
 5-1
必須
断熱等性能等級 外壁 窓等を通しての熱損失の防止を図るための断熱化等による対策の程度を等級で表示
 5-2
必須
一次エネルギー消費量等級 一次エネルギー消費量の削減のための対策の程度を等級で表示
6 空気環境に関すること
 6-1 ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等) 居室の内装の仕上げ及び天井裏等の下地材等からのホルムアルデヒドの発散量を少なくする対策を等級で表示
 6-2 換気対策 室内空気中の汚染物質及び湿気を屋外に除去するための必要な換気対策について2項目で表示
 6-3 室内空気中の化学物質の濃度等 評価対象住戸の空気中の化学物質の濃度及び測定方法を表示
7 光・視環境に関すること
 7-1 単純開口率 居室の外壁又は屋根に設けられた開口部の面積の床面積に対する割合の大きさを表示
 7-2 方位別開口比 居室の外壁又は屋根に設けられた開口部の面積の各方位毎の比率の大きさを表示
8 音環境に関すること
 8-1 重量床衝撃音対策 居室に係る上下階との界床の重量床衝撃音を遮断する対策について、等級または相当スラブ厚を表示
 8-2 軽量床衝撃音対策 居室に係る上下階との界床の軽量床衝撃音を遮断する対策について、等級または軽量床衝撃音レベル低減量を表示
 8-3 透過損失等級(界壁) 居室の界壁の構造による空気伝搬音の遮断の程度を等級で表示
 8-4 透過損失等級(外壁開口部) 居室の外壁に設けられた開口部に方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度を等級で表示
9 高齢者等への配慮に関すること
9-1 高齢者等配慮対策等級(専用部分) 住戸内における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を等級で表示
 9-2 高齢者等配慮対策等級(共用部分) 共同住宅等の主に建物出入口から住戸の玄関における高齢者等への配慮のために必要な対策の程度を等級で表示
10 防犯に関すること
 10-1 開口部の侵入防止対策 通常想定される侵入行為による外部からの侵入を防止するための対策を講じているか否かを表示

 

【Q&A】設計住宅性能評価書はいつ取得する?

Q. 設計住宅性能評価書はいつ取得する?
A. 設計住宅性能評価書は原則として、建築工事が始まる前に取得します。ただし、着工後であっても取得は可能です。

「申請先の評価機関」や「申請内容」によりますが、申請受付から評価書の交付まで、数週間から1ヶ月程度かかるでしょう。

早めに申請を行い、スケジュールに余裕を持って動くことをおすすめします。

 

品確法で「設計住宅性能評価書」を読む

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で住宅性能評価書について書かれているのは第5条。

(住宅性能評価)
第五条 第七条から第十条までの規定の定めるところにより国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録住宅性能評価機関」という。)は、申請により、住宅性能評価(設計された住宅又は建設された住宅について、日本住宅性能表示基準に従って表示すべき性能に関し、評価方法基準(第五十八条第一項の特別評価方法認定を受けた方法を用いる場合における当該方法を含む。第三十一条第一項において同じ。)に従って評価することをいう。以下同じ。)を行い、国土交通省令・内閣府令で定める事項を記載し、国土交通省令・内閣府令で定める標章を付した評価書(以下「住宅性能評価書」という。)を交付することができる。

2 前項の申請の手続その他住宅性能評価及び住宅性能評価書の交付に関し必要な事項は、国土交通省令・内閣府令で定める。

3 何人も、第一項の場合を除き、住宅の性能に関する評価書、住宅の建設工事の請負契約若しくは売買契約に係る契約書又はこれらに添付する書類に、同項の標章又はこれと紛らわしい標章を付してはならない。

 

まとめ

  • 設計住宅性能評価書とは、指定住宅性能評価機関が住宅の設計図書を審査し、特定の基準に関する評価結果を示した書類。
  • 住宅ローン控除を受ける際のメリット
    1. 省エネ基準の適合証明
    2. 控除額の増加
    3. 手続きの簡素化
  • 「設計住宅性能評価書」と「建設住宅性能評価書」は、それぞれ異なる段階での評価を示す。
    • 設計住宅性能評価書:設計段階での評価
    • 建設住宅性能評価書:施工段階から完成後にかけての評価。

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