
- 準都市計画区域って、どんなエリア?
- 用途地域は定められている?
- 準都市計画区域が指定される要件について知りたい。
こんな疑問に答えます。
本記事では、準都市計画区域についてわかりやすく解説。
都市計画法において、日本の国土は大きく3つに分けられます。簡単にまとめると下表のとおり。
都市計画区域 | 都市の計画的な発展を促進するエリア |
準都市計画区域 | 田舎ではあるが、その地域が重要であるために制限が課せられているエリア |
その他(都市計画区域外) | 人が少なく、とりあえずそのままにされているエリア |
記事を読むことで、準都市計画区域の特徴や建築物を建てる際の注意点などを理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
準都市計画区域とは
準都市計画区域とは、積極的な整備や開発をおこなう必要はないものの、その地域に特有の「●自然環境●文化的背景●社会的な要因」をふまえた土地利用規制が求められる地域です。
簡単にいうと、地方(都市計画区域外)でも、重要度が高いため制限のあるエリア。
たとえば、将来的にインターチェンジのようなインフラを整備するため、現時点から規制をかけておくことで無秩序な開発をさせないようにしています。

ちなみに、日本の国土のうち準都市計画区域は1%を下回っており、居住者は全人口の1%未満にとどまります。
準都市計画区域で定められる地域地区【用途地域など】
準都市計画区域に定めることができるのは、以下の地域または地区に限られています。
- 用途地域
- 特別用途地区
- 特定用途制限地域
- 高度地区
- 景観地区
- 風致地区
- 緑地保全地域
- 伝統的建造物群保存地区
準都市計画区域の指定について
準都市計画区域は、都道府県知事が指定します。
指定の要件は以下のとおり。
- 都市計画区域外の土地であること
- 現在、多数の住居等が建設され、今後も建設が見込まれること
- そのまま放置すると、将来的な都市の整備や開発、保全に支障が生じる可能性があること

交通の便が良く、開発がしやすい地形を中心に、準都市計画区域が指定されています。
よくあるのは「インターチェンジの周辺」や「地方の観光地周辺」ですね。
確認申請の要否
準都市計画区域に建築物を建てる場合、建築基準法に基づく建築確認申請が必要です。
建築確認申請とは、建築物の工事着手前に「地方公共団体の建築主事」または「確認検査機関」に設計図書を提出し、建築基準法への適合性についてチェックを受けること。

審査が通ると「確認済証」が交付され、建築物の工事を開始することができます。
逆にいえば、確認申請を受けずに建築物の工事に着手すると、建築基準法違反となるため注意が必要です。
準都市計画区域に関するQ&A
高度利用地区とは、市街地における合理的で健全な土地の高度利用と都市機能の更新を図る地区のこと。
準都市計画区域は、都市計画上の重要性が高い地域ではあるものの、都市計画区域と比べて開発や建築の制限が緩いため、高度利用地区に指定されないわけですね。
原則として開発面積が3,000㎡を超える宅地造成について、都道府県知事(または市長)の許可が必要となります。
建築基準法を読む
建築基準法において、都市計画区域および準都市計画区域内のみに適用されるのは「法第三章」の各規定です。
「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル や建築申請memo2025 といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。
第三章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途
第一節 総則
(適用区域)
第四十一条の二 この章(第八節を除く。)の規定は、都市計画区域及び準都市計画区域内に限り、適用する。
都市計画法を読む
都市計画区域の指定方法は、都市計画法5条の2に定められています。
(準都市計画区域)
第五条の二 都道府県は、都市計画区域外の区域のうち、相当数の建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の建築若しくは建設又はこれらの敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる区域を含み、かつ、自然的及び社会的条件並びに農業振興地域の整備に関する法律(昭和四十四年法律第五十八号)その他の法令による土地利用の規制の状況その他国土交通省令で定める事項に関する現況及び推移を勘案して、そのまま土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域を、準都市計画区域として指定することができる。
2 都道府県は、前項の規定により準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、関係市町村及び都道府県都市計画審議会の意見を聴かなければならない。
3 準都市計画区域の指定は、国土交通省令で定めるところにより、公告することによつて行う。
4 前三項の規定は、準都市計画区域の変更又は廃止について準用する。
5 準都市計画区域の全部又は一部について都市計画区域が指定されたときは、当該準都市計画区域は、前項の規定にかかわらず、廃止され、又は当該都市計画区域と重複する区域以外の区域に変更されたものとみなす。
まとめ
- 準都市計画区域とは、都市計画区域外で「●自然環境●文化的背景●社会的な要因」をふまえた土地利用規制が求められる地域。
- 準都市計画区域には用途地域を定めることができる。
- 準都市計画区域は、都道府県知事が指定する。
- 準都市計画区域に建築物を建てる場合、建築基準法に基づく建築確認申請が必要。
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