
- 一級建築士の製図が苦手…。
- 合格率を高めるために効果的な受験対策があれば教えてほしい。
- 資格学校のライバルと独学で差をつけたい。
こんな要望に応えます。
本記事では、一級建築士製図試験で一発合格したときに役立ったオリジナルの勉強方法・受験対策を紹介。
一級建築士製図は資格学校に通ったとしても合格率50%程度です。
つまり、隣に座って一緒に授業を受けている生徒との競争にも勝たなければならない、胃の痛くなるようなシビアな世界。
そんな厳しい戦いのなか合格を勝ち取るためには、ライバルが実践していない独自の勉強方法を持っているかが勝敗を左右します。
- 質の高い『製図道具』で作図時間の短縮をはかる
- 試験で最後に見直す項目を語呂合わせで覚える
- 「計画の要点(記述問題)」はキーワードをノートにまとめて毎日復習
- 資格学校のホームページで『合格体験記』を読む
- 製図の解答例を部屋の壁一面に貼って、何度も見る
- 『サプリ』で脳に良い栄養素を摂取する
- 勉強時間を削ってでも運動する
- 製図板を知人に借りて2つ活用する
- 一級建築士資格を取得した若い先輩に勉強方法を聞く
- 職場での昼休みは、ひたすら仮眠
- 転職して勉強時間確保
- 資格学校のクラスメイトと積極的に情報交換
- 睡眠時間は6時間以上確保する
- 資格学校で教わることは100%実践する【自分勝手なこだわりは捨てる】
- すき間時間に勉強する内容を決めておく
- まとめ
質の高い『製図道具』で作図時間の短縮をはかる
作図時間を1分1秒でも短縮するために、製図道具はこだわりを持って厳選すべきです。
優れた製図道具を使うメリットは3つ。
- 作図時間の短縮
- 製図の練習で疲れにくい道具を選び、ストレス軽減
- きれいな図面に仕上げる
一級建築士製図を受験する生徒たちは3ヶ月間、死にものぐるいで、製図の練習をこなします。
みんなが同じ量の努力をするため、技術面で大きな差はつかず、自然に同程度の作図スピードに落ち着いてくるかと。
だからこそ、どんな道具を使っているかが合否を分けます。
”弘法筆を選ばず“で「名人は道具の善し悪しなど問題にしない」という考え方もありますが、受験生は手書き製図の名人ではありません。試験に合格すれば、二度と製図板を使うこともないでしょう。
つまり、”最低限の努力”で”最大の成果”を目指すべきです。
適切な道具を選ぶことで、ライバルとほんの少しですが、確実な差がつきます。
僕が試験で実際に使用した製図道具は、一級建築士試験のおすすめ製図道具15選【合格率を1%でも高めるために】という記事にまとめているので、ご参考までにどうぞ。
試験で最後に見直す項目を語呂合わせで覚える
図面を描き終えたあと、試験時間のうち15分を使って、必ず見直し(最終チェック)を行いましょう。
『見直し』は合格を確実にするために欠かせない「技術」です。

ただ、『見直し』といっても「なにを見返すべきか、どこに重点をおいてよいかわからない」という方が多いと思います。僕もそうでした。
そこで、「あらかじめ見直しを行う部分を決めておこう」という考えに至ります。
さらに、試験本番は緊張して、見直すポイントを忘れる恐れがあるため、「語呂合わせ」で最終チェックするようにしました。
✔ 製図試験の最終チェック項目の語呂合わせ
意味不明な文章ですが、キーワードを分解すると以下のとおり。
- どら:ドライエリア
- ぴ:PS
- か:階段
- ちゅう:駐車場
- はし:断面図における柱型の記入
- ごみ:ゴミ置き場
- いい:EV
- 避難:二方向避難
- 計:計算式
- 画:区画
- 通路:敷地内通路の幅
- ひさし:庇
- フエ:フェンス
- 吹き:吹き抜け
- ちか:地階、地階の階段
- 今日:境界線
- だけ:ダクト、DS
- や:屋根
- めん:諸室の面積
- な:部屋の名称
- あく:アクセス、入り口の記入
- じ:自転車置き場
- スロッ:スロープ
- ト:戸の記入
- えん:煙突
- ぎり:断面の切断位置
- すん:寸法
- な:名前の記入漏れ
- て:手すりの記入

すべて覚える必要はありません。自分が模擬試験で忘れやすかった項目だけを抜粋して、オリジナルの語呂合わせを作るのがいいと思います。
『図面の見直し』を軽視している受験生が多い
資格学校でも講師から、「見直しの時間を確保するように」と、口酸っぱく言われます。
でも、話半分に聞いている生徒が多い…。
模擬試験のあとに、生徒同士で話をしていても「見直す時間がなかった」「終了時間ぎりぎりまで描いていた」という声をよく聞きます。

練習では見直しをちゃんとしてるのに、本番では図面をきれいに描きたい一心から「見直しの時間を削った」という人も。
厳しいことを言うようですが、見直しの時間を確保し、逆算して時間内に描きあげられなければ練習不足。
エスキスが上手くまとまり、図面がきれいに描けていても、「室名の書き忘れ」により課題で要求された室がなくなって大幅な減点・不合格となったケースもあります。
「見直しの時間は絶対に死守する」、この言葉を意識しているかどうかで合否が分かれると思います。
「計画の要点(記述問題)」はキーワードをノートにまとめて毎日復習
「計画の要点」を書く記述問題は、模擬試験や日々の学習を通じて、キーワードを覚えましょう。
そして、キーワードに関する「解説」と「メリット」をノートに整理します。
例えば、設備に関するキーワードとして、「ポンプ直送方式」では以下のとおり。
- キーワード:ポンプ直送方式
- 解説:受水槽に一度貯水してポンプで使用箇所まで給水する方式
- メリット:水圧が安定している、断水時に受水槽内の水を使用できる
(1)建築計画(2)構造計画(3)設備計画(4)環境負荷低減、4つの分野ごとにキーワードをまとめたノートを毎日15分くらいかけて見返します。

1日で記述問題演習を何時間もこなすのではなく、毎日15分でもいいので、反復練習をする方が記憶に定着しやすいはず。
資格学校のホームページで『合格体験記』を読む
大手資格学校のホームページには、合格者の声をまとめたページが公開されています。
本来は、資格学校に通うかどうかを決めかねている方の背中を後押しする目的で、作成された記事だと思いますが、僕は製図試験に合格するイメージを掴むために『合格体験記』を活用していました。
例えば、ビジネスやスポーツにおいても「成功者のやり方を真似る」というのは、すばやく成長するために欠かせない技術ですよね。
『合格体験記』を読むメリットは主に3つ。
- 多くの成功事例を読むことで、自分の努力の方向性が正しいかどうか確認できる
- 試験勉強で苦労した点などを読むと、親近感がわき、モチベーションが高まる
- 「試験本番でこんなミスをしたが、結果的に合格した」など、採点基準が推し量れるような事例が見つかる

とくに印象に残っている「合格者の声」として、「平面図の壁を二重線ではなく、単線で描いて合格した」という体験談がありました。
かなり年配の方で、どれだけ練習しても作図スピードが上がらず、悩んだ結果、柱を一本の線で描いて時間を短縮することを選んだそう。
柱を単線で描くというのは、採点者の印象を悪くするおそれがあり、減点対象となる可能性もあるためおすすめはしません。
ですが、「なによりも図面を完成させることが大事だ」ということが、強く心に刻まれた思い出があります。自分の望む結果を出している人の言葉は説得力があり、深く心に響きます。
貴重な情報が無料で公開されているので、ぜひ活用してみてください。


製図の解答例を部屋の壁一面に貼って、何度も見る
資格学校の模擬試験を受けると、A2サイズの解答例がもらえます。
僕は、課題や模試の解答例を部屋の壁一面に貼って、ことあるごとに見るようにしていました。
たとえば、製図の練習をしているときに、図面の描き方に迷ったらすぐに参考図をみることができるため、作業効率が高まります。
また、歯を磨きながらぼんやりと図面を眺めるなど、一日に何度も見ることによって理想の図面が自然と記憶に定着します。
『サプリ』で脳に良い栄養素を摂取する
一級建築士の試験勉強期間だけ、サプリと健康食品で脳に良いといわれる栄養素を摂取していました。
実際に取り入れていたサプリは以下の2つ。
社会人の試験勉強は、学生時代の受験勉強の比じゃありません。めちゃくちゃ疲れます。
フルタイムの仕事と残業をこなして、帰宅したら資格学校の課題に取り組み、土日休みは資格学校の授業。

短期間とはいえ、脳と体の健康を保つだけでも難しい。体調を崩して2~3日寝込んでしまうとライバルに大きな差をつけられてしまう…。
少しでも身体への負担を軽減し、脳の健康を維持するという目的で「低GI食品」と「ビタミンB・C」をサプリで摂取していました。
勉強時間を削ってでも運動する
勉強時間を多少削ってでも、適度な運動は継続していました。
30分ほどランニングして、家に帰ってシャワーを浴びて、15分ほど仮眠する。
準備の時間を含めると、1~1.5時間程度。
運動することのメリットは主に3つ。
- 身体を健康に保つ
- 試験のことを全く考えない時間を作って、気持ちをリセットする
- 脳が活性化し、集中力が高まる
「試験にすべてを賭ける」という情熱は大切ですが、精神と肉体の健康を保てないと勉強を続けることができません。本業の仕事にも影響が出てしまいます。
努力を継続できた人だけが試験の合格を勝ちとることができます。
製図板を知人に借りて2つ活用する
学生時代の友人に製図板を借りて、ひとつは自宅、もうひとつは資格学校に置いていました。
資格学校に置きっぱなしにしておけば、手ぶらで行けるので自習室へと向かいやすく、授業に出るストレスも軽減されます。

家にも製図板を置いたままにしておけるので、すぐに製図の練習に取り掛かれるというメリットもありますね。
一級建築士資格を取得した若い先輩に勉強方法を聞く
製図試験に合格した先輩や知人がいる場合は、勉強方法や注意すべき点など、質問してみましょう。
とくに、自分と年齢の近い方に聞くのがおすすめ。

受験した年が離れていると、試験内容や難易度が変わっているため、参考になりづらい…。
合格者の生の声はとても貴重。数年経っても思い出せるほど強い印象が残るため、試験のモチベーション維持に大きく役立ちます。
モチベーション向上の他にも、
- 自分の通う資格学校以外で合格した人がいれば、違った攻略方法が聞ける可能性がある
- 先輩が受験したときに作ったノートや資料を借りられる
などのメリットもあり、サポートしてくれる味方がいると心強いです。
職場での昼休みは、ひたすら仮眠
職場での昼休み、元々は同僚と昼食を食べに外食していましたが、試験勉強中は弁当を買ってきて食事を手早く済ませ、残った時間でひたすら仮眠していました。
コーヒーでカフェインを摂取し、デスクに突っ伏して15分ほどの睡眠が効果的。
「脳がすっきりする」という感覚を実感できるはずです。
こまめに睡眠をとることが疲労回復につながり、勉強中の集中力維持につながります。
転職して勉強時間確保
一級建築士試験の勉強時間の確保を目的の一つとして「転職」をしました。
残業が少なく、土日が休みで資格学校に通える、とにかく勉強時間が確保できそうな企業を転職サイトで検索。
建設業界は拘束時間が長い企業が多いため、「睡眠と勉強が両立できる」というだけで、ライバルに大きな差をつけることができます。
「一級建築士に合格したら転職したい…」という人は多いですが、「一級建築士に合格するために転職する」という考えもあり。
たとえ合格する前は給与が低くても、資格取得で昇給できる可能性は高いです。

一級建築士という肩書を得たうえで、さらなる企業へとステップアップすることも可能。
僕が転職をしたときに活用した転職サイトは、『転職3回の一級建築士が語る。おすすめ転職サイト・転職エージェント』という記事にまとめているので、ご参考までにどうぞ。
資格学校のクラスメイトと積極的に情報交換
資格学校に通っている場合は、同じクラスの受験生と積極的に情報交換しましょう。
隣に座っている受験生は「ライバル」ですが、敵視する必要はありません。
情報交換によるメリットは以下のとおり。
- 自分の持っていない情報が聞ける
- 自分の知識を相手に教えることで、考えが整理されて理解が深まる
課題の図面がきれいだったり、エスキスのまとめ方が上手かったりと、自分よりも優秀な人に質問し、協力しながら合格を目指しましょう。
睡眠時間は6時間以上確保する
睡眠時間は6時間以上確保するよう心がけていました。
これは試験勉強ではなく、ブラック企業に勤めていたときの経験から学んだことですが、睡眠不足になると精神的に不安定になり、凡ミスも多くなりがちです。
睡眠も試験対策のひとつと割り切って、就寝時間を守るように意識しましょう。
資格学校で教わることは100%実践する【自分勝手なこだわりは捨てる】
資格学校に入ったら、「講師に言われたことは全部聞く」というスタンスで授業を受けていました。
たとえば、”出された課題をやらない”、”指定された制限時間で描き上げられるよう練習してこない”という選択肢はあり得ません。
資格学校側は、他では得られない”試験に対する圧倒的な情報量とノウハウ”を持っています。
資格学校で教わった方法を完璧にこなした上で、自分独自の考えを「+α」で加えるのはOK。
講師が推奨していないにも関わらず、柱に色を塗るなど、無駄なことをやっている生徒がいたりします。

高い授業料を払っているのに、独自の考えを押し通しても意味がないですよね。
製図試験に関する知識は、講師陣の方が圧倒的に上。教わったことは素直に聞いて、実力アップにつなげましょう。
すき間時間に勉強する内容を決めておく
電車に乗っている時間など、ちょっとしたすき間時間に勉強する内容を決めておきましょう。
空いた時間ができてから、「なにか勉強した方がいいかな?」と急に考えはじめても、無駄に時間が経過したり、そもそも資料を持ってなかったりします。

僕は、すき間時間には「【計画の要点】の記述方法をまとめたノート」を読むようにしていました。
本番当日の朝や試験が始まる前の待ち時間も同じ。
日々積み重ねていることを、いつもどおり行うことによって、安心感が生まれ、試験への緊張が和らぎます。
まとめ
ここまで”一級建築士のオリジナル勉強法”を紹介してきましたが、すべてを実践する必要はありません。
自分の生活リズムに合っていて、取り入れやすそうなものを試したり、独自の勉強法に応用してみるのがよいかと思います。
記事を読んで、合格率が1%でも高まる可能性を感じたら、ぜひ行動に移してみてください。

