三号特例とは|審査省略となる規定一覧表【四号特例との違いも解説】

三号特例 建築基準法改正
  • 三号特例(さんごうとくれい)って何?
  • 平屋で床面積200㎡以下なら構造審査が免除ってホント?
  • 省エネ適判も対象外になるの?

こんな疑問に答えます。

 

本記事では「三号特例」という確認申請における審査省略制度について、わかりやすく解説。

令和7年4月1日施行の建築基準法改正までは、「四号特例」と呼ばれていた制度です。

建築基準法6条が法改正で見直されたことにより、特例が受けられる規模が大幅に変わり、名称も三号特例に変化しました。

平屋かつ床面積200㎡以下の建築物を設計するなら欠かせない知識です。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。

住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。

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三号特例とは【確認申請の審査省略制度】

三号特例とは、建築士が設計した「建築基準法6条1項三号に当てはまる建築物(※)」について、確認申請で審査される規定の一部が省略される制度のこと。(建築基準法第6条の4第1項第3号)

※:階数1かつ延べ面積200㎡以下の建築物

具体的な省略対象は建築基準法施行令第10条第3号・第4号に定められています。

三号特例を受けるための条件は、シンプルに2つ。

条件 内容
①建築物の区分 法第6条第1項第3号に該当する建築物(三号建築物)であること
②設計者の資格 建築士が設計したものであること

 

三号特例で「何が変わる」のか

三号特例が適用されると、確認申請の審査で一部の規定がチェック対象から外れます。

審査対象から外れるということは、その規定に関する図書の添付も省略できるということ。

たとえば、構造耐力に関する規定(法第20条)が特例の対象に含まれるため、仕様規定ルートで設計している三号建築物であれば、構造図や壁量計算書等を確認申請に添付する必要がありません。

図書の準備・審査の手間が大幅に削減されるわけですね。

さらに、特例で審査が省略された規定は「完了検査・中間検査でも検査が省略される」ため、手続き全体が効率化されるメリットがあります。(建築基準法第7条の5)

 

「省略=守らなくていい」ではない

三号特例はあくまで「確認申請における審査と図書添付が省略される制度」であって、建築基準法への適合義務そのものが免除されるわけではありません。

省略された規定についても、建築基準法に適合させる責任は設計者である建築士が負います。

ここは最も間違えやすいポイントですね。

三号特例の考え方

  • 指定確認検査機関側:特例対象の規定はチェックしない
  • 設計者(建築士):特例対象の規定も含め、すべての規定に適合させる義務がある

「特例を使う=省略した部分の法適合を建築士が責任をもって担保する」という関係です。

この点を見落とすと、設計ミスがあっても審査では発見されず、そのまま施工されてしまうリスクがあるため注意しましょう。

 

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三号特例が適用される建築物とは

『三号建築物』とは、建築基準法第6条第1項第3号に規定される建築物のことで、具体的には「階数1(平屋)かつ延べ面積200㎡以下の建築物」を指します。

三号建築物の要件

項目 要件
階数 1(平屋)
延べ面積 200㎡以下
高さ 16m以下
構造種別 制限なし(木造・鉄骨造・RC造など問わない)

ポイントは、「構造種別を問わない」という点。

旧四号建築物では木造と非木造で規模要件が異なっていましたが、令和7年4月1日の改正以降、構造に関係なく「平屋200㎡以下」で統一されています。

 

特定木造建築物の審査合理化措置

「2階建ての木造住宅がすべてフル審査になるのは厳しすぎるのでは?」——こうした実務上の懸念に対応するため、「特定木造建築物に対する審査の合理化措置(規則第1条の3)」が設けられています。

項目 要件
高さ 16m以下
階数 2以下
延べ面積 300㎡以下
構造ルート 仕様規定ルート

上記のすべてを満たす木造建築物は「特定木造建築物」に該当し、仕様表(チェックリスト形式の書類)を添付することで一部の構造図書の添付を省略できます。

三号特例そのものとは別の制度ですが、2階建て木造住宅を多く手がける設計者にとっては押さえておきたい仕組みですね。

 

三号特例で確認申請の審査が省略される規定【一覧表】

三号特例で省略される規定は、建築基準法施行令第10条第3号・第4号に定められています。

ただし、すべての三号建築物に同じ特例が適用されるわけではありません。建築場所と用途によって、省略される規定の範囲が変わる点に注意が必要です。

 

令第10条第3号と第4号の区分

まず、計画中の物件がどちらの区分に該当するかを確認しましょう。

区分 建築場所 用途
令第10条第3号 防火地域・準防火地域以外 一戸建ての住宅(※)
令第10条第4号 上記以外(=防火・準防火地域内、または一戸建て住宅以外) 左記のとおり
※「一戸建ての住宅」から除かれるもの:住宅以外の用途の床面積の合計が延べ面積の1/2以上、または50㎡を超えるもの。いわゆる大規模な兼用住宅は令第10条第4号の扱いとなります。

簡単にいえば、「防火指定のない区域に建つ純粋な一戸建て住宅」が最も広い範囲の特例を受けられ、それ以外の建築物は特例の範囲がやや狭くなるわけですね。

 

特例対象となる規定(令第10条第3号イ・第4号イ)【一覧表】

○=特例対象(審査省略)、ー=特例対象外(審査対象)

特例対象の規定 規定の内容 3号 4号
法20条(第1項第4号イに係る部分) 構造耐力
法21条 大規模建築物の主要構造部
法22条 屋根
法23条 外壁
法24条 建築物が第22条区域の内外にわたる場合
法25条 大規模木造の外壁等
法27条 耐火建築物等としなければならない特殊建築物
法28条第1項・第2項 採光・換気
法28条第3項・第4項 火気使用室の換気等
法29条 地階の住宅等の居室
法30条 長屋・共同住宅の界壁の遮音
法31条第1項 便所
法32条 電気設備
法33条 避雷設備
法35条 特殊建築物等の避難・消火規定
法35条の2 特殊建築物等の内装制限
法35条の3 無窓居室の主要構造部
法37条 建築材料の品質

 

施行令の特例対象規定(令第10条第3号ロ・第4号ロ)

○=特例対象(審査省略)、ー=特例対象外(審査対象)

特例対象の規定(令) 規定の概要 3号 4号
令第2章(令1節の3、令32条、令35条を除く) 一般構造
令20条の3 火気使用室の換気設備
令第3章(第8節を除く。令80条の2は大臣指定基準に限る) 構造強度
令第4章 耐火構造・準耐火構造・防火区画等
令第5章(令119条を除く) 避難施設等
令119条 廊下の幅
令第5章の2 特殊建築物等の内装
令第5章の4(令129条の2の4第1項第6号・第7号を除く) 建築設備
令129条の2の4第1項第6号・第7号 配管設備の区画貫通措置等
令144条の3 仮設建築物の構造

 

構造耐力関係規定の特例には「構造方法」の条件がある

法第20条(構造耐力)はすべての構造方法で無条件に省略されるわけではありません。

特例が適用されるのは、次の条件を満たす場合に限られます。

構造方法 特例対象となる条件
令第3章第3節〜第7節の構造方法(木造在来工法、組積造、補強CB造、鉄骨造、RC造、SRC造、無筋コンクリート造) 法第20条第1項第4号イに係る部分であること(=仕様規定ルート)
令第80条の2による特殊な構造方法 H19国交告第1119号第1〜第4に係る部分に限る

告示第1119号で特例対象とされている特殊な構造方法は、以下の4種類。

  • プレストレストコンクリート造(告示第1320号第1〜第12)
  • 壁式鉄筋コンクリート造(告示第1026号第1〜第8)
  • 木造の枠組壁工法(告示第1540号第1〜第8)
  • アルミニウム合金造(告示第410号第1〜第8)

上記以外の特殊な構造方法(膜構造など)は、三号建築物であっても構造関係図書の確認審査が必要となります。特殊な構造方法を採用する場合は注意しましょう。

 

三号特例の対象となる建築物は省エネ適判も免除

三号特例の適用を受ける建築物は、省エネ適合性判定(省エネ適判)が免除となります。

 

省エネ適判の対象外となる根拠

建築物省エネ法(建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律)に基づく省エネ適合性判定は、原則として確認申請が必要なすべての建築物に対して求められます。

しかし、三号建築物に該当する規模(平屋・200㎡以下)の建築物は、この適合性判定の手続きが不要となっています。【建築物省エネ法第11条第1項】

 

「適判不要」と「適合義務なし」は違う

省エネ適判が不要だからといって、省エネ基準を満たさなくてよいわけではありません。

ここは建築基準法における考え方と同じですね。

項目 内容
省エネ適判 不要(手続きが省略される)
省エネ基準への適合義務 あり(建築士が責任をもって適合させる)

三号特例で構造関係規定の審査が省略されても法適合義務が残るのと、まったく同じロジック。

設計者である建築士が省エネ基準への適合を担保する責任を負います。

 

旧四号建築物との比較

令和7年4月1日の法改正で(法6条1項)四号建築物が廃止され、審査特例の対象となる規模が大幅に変化しました。

改正前後の違いは以下のとおり。

適用条件 三号建築物(改正後) 旧四号建築物(改正前)
階数 1 2
高さ 16m以下 高さ13m以下 かつ 軒高9m以下
延べ面積 200㎡以下 500㎡以下

特に影響が大きかったのは「階数」の要件でしょう。

改正前は木造2階建て住宅の大半が旧四号特例の対象でしたが、改正後は2階建てというだけで特例の対象外に。

これにより、新二号建築物として扱われ、構造関係規定を含むフル審査の対象となりました。

 

三号特例について建築基準法を読む

三号建築物は建築基準法6条1項三号に当てはまる建築物です。

「建築基準法を読みたくない」という方は、建築法規PRO2026 図解建築申請法規マニュアル建築申請memo2026といった書籍で、図や表を見て理解を深めていきましょう。

(建築物の建築等に関する申請及び確認)

第六条

中略

一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの

二 前号に掲げる建築物を除くほか、二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超える建築物

三 前二号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物

三号特例は、建築基準法6条の4に定められています。

(建築物の建築に関する確認の特例)

第六条の四

第一号若しくは第二号に掲げる建築物の建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替又は第三号に掲げる建築物の建築に対する第六条及び第六条の二の規定の適用については、第六条第一項中「政令で定めるものをいう。以下同じ」とあるのは、「政令で定めるものをいい、建築基準法令の規定のうち政令で定める規定を除く。以下この条及び次条において同じ」とする。

一 第六十八条の十第一項の認定を受けた型式(次号において「認定型式」という。)に適合する建築材料を用いる建築物

二 認定型式に適合する建築物の部分を有する建築物

三 第六条第一項第三号に掲げる建築物で建築士の設計に係るもの

以下省略

三号特例の対象となる規定は、建築基準法施行令10条に定められています。

第三節 建築物の建築に関する確認の特例

第十条

法第六条の四第一項の規定により読み替えて適用される法第六条第一項(法第八十七条第一項及び法第八十七条の四において準用する場合を含む。)の政令で定める規定は、次の各号(法第八十七条第一項において準用する場合にあつては第一号及び第二号、法第八十七条の四において準用する場合にあつては同号。以下この条において同じ。)に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める規定とする。

以下省略

 

まとめ

  • 三号特例とは、建築士が設計した「階数1(平屋)かつ延べ面積200㎡以下の建築物」について、確認申請で審査される規定の一部が省略される制度のこと。
  • 三号特例が適用されると、確認申請で一部の規定が審査対象から外れる。
  • 三号特例は「審査と図書添付が省略される制度」であって、建築基準法への適合義務そのものが免除されるわけではない。
  • 三号特例で省略される規定は、令第10条三号・四号に定められている。
  • 三号特例の適用を受ける建築物は、省エネ適判が免除となる。
  • 令和7年4月1日の法改正で旧四号特例が新三号特例となり、対象となる建物が大幅に減少した。

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