
- 設計をしていると、地域ごとに建築基準法の解釈にばらつきがあって困る。
- 確認申請を出しなれていない都市の設計では、確認済証を取得できるか不安。
- 行政ごとの建築基準法の取り扱いをまとめた本ってないの?
こんな悩みをもつ設計者の方には、『プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版』という書籍がおすすめです。
「ぎょうせい」という出版社が発行しており、確認検査機関の検査員や建築主事も、建築基準法解釈の参考にしている本なので実践ですぐに使えます。

このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。
建築基準法に関する書籍を20冊以上読んできた中から、建築設計に役立つものだけを紹介していくので、ご参考までにどうぞ。
『プロのための主要都市建築法規取扱基準』とは
『プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版』は、市町村ごとに建築基準法解釈が異なる部分をわかりやすく整理した書籍。
建築基準法は解釈の余地が大きいので、確認検査機関や特定行政庁ごとの判断にバラつきが生まれています。

例えば、”屋外避難階段の避難経路”というテーマにしても”開放性を取らないといけない”とか”特定防火設備の区画でOK”など基準が異なる…。
「建築基準法を読み込んでいれば、大きな間違いは起こらない」わけですが、法文だけでは市場のニーズをつかんだ、柔軟な設計はできないのも事実。
地域の特性を把握して、都市計画に沿った建物を設計したい方にとって『プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版』が役立ちます。
『プロのための主要都市建築法規取扱基準』が建築確認に役立つ理由
『プロのための主要都市建築法規取扱基準』が、実施設計や確認申請において役立つ場面は3つ。
- 確認申請を出したことのない地域で初めて設計する
- 確認検査機関で指導された建築基準法の解釈に納得がいかない
- 自分が今まで思いもよらなかった建築基準法の捉え方が知りたい
確認申請を出したことのない地域で初めて設計する
例えば、主に東京で確認申請を出していた設計者が、はじめて大阪の物件を設計する場合、いつもの感覚で設計するのは危険。
東京23区と大阪市では、建築基準法の解釈が微妙に異なる可能性があるからです。
大阪市で設計するとき、間違いのない計画をするためには、”大阪市建築基準法取扱い要領”で定められた基準にしたがうことが前提となります。

でも、建築予定地が変わるごとに、それぞれの建築基準法取り扱い基準を読み込むのは大変…。
床面積算定や避難規定の解釈など、致命的な設計ミスになりかねないポイントについて、地域ごとの解釈のバラつきがわかれば安心できますよね。
確認検査機関で指導される法解釈に納得がいかない
確認申請を出したときに、自分が思いもよらなかった法解釈を検査員に指摘されて、納得がいかなかったことはありませんか?

相手の判断が間違っているような気がしたけど、建築基準法の知識に自信がないため議論することもできなかった…。

設計者としての判断に自信が持てないときは、書籍の助けを借りましょう。信頼度の高い本であれば、書いてあることをそのまま設計主旨として使えます。
僕自身、確認検査員として設計者に誤りを指摘をするときには、根拠となる情報を明らかにするよう心がけています。
しかし、検査員も人間ですので間違った固定観念を持っていることもありますし、無意識ながら法文には書いていないことを指導してしまう方もいるでしょう。
もし、検査員の法解釈に根拠がないと感じたら、さまざまな書籍を活用して、設計で参考にした情報源がなにかを伝えてください。
『プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版』は、建築基準法解釈の根拠として、法令集なみに扱える本のひとつです。
自分の発想になかった法解釈を身につけて設計の幅を広げたい
建築基準法の知識に深みを持たせたい方にも、『プロのための主要都市建築法規取扱基準』は有益。
建築基準法は本文に詳しい解説などありませんし、解釈の余地も広いですよね。
例えば、小屋裏物置を床面積や階に算入するかどうかは、法文を読むだけではわかりません。
小屋裏物置に登る設備でも、固定階段でも良いとか、可動式ハシゴでないとダメだとか…、驚くほど違います。

設計者としての経験が、思わぬ足かせになって柔軟な発想ができないことも。
多くの地域の建築基準法解釈を知ることで、設計の自由度を高めることができます。
『主要都市建築法規取扱基準』と『法令集』をセットで活用
『プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版』と『基本建築関係法令集 法令編 令和7年版』は併せて読みましょう。
- 『建築基準法令集』で不明な点があれば『主要都市建築法規取扱基準』で調べる。
- 『主要都市建築法規取扱基準』に書かれていることの本質を理解するために『建築基準法令集』をチェック。

法文を読むと頭が痛くなるという方は、『建築法規PRO2025 図解建築申請法規マニュアル 』という本を使いましょう。
図解が多くて見やすいので、僕も設計者の方に審査の意図を伝えるときに活用しています。
まとめ
- 『プロのための 主要都市建築法規取扱基準 四訂版』は、各地域ごとに建築基準法解釈が異なる部分をわかりやすく整理した書籍。
- 建築確認申請において役立つ場面は3つ。
- 確認申請を出したことのない地域で初めて設計
- 検査機関で指導された法解釈に納得がいかない
- 今まで思いもよらなかった法解釈が知りたい
- 『主要都市建築法規取扱基準』と『建築基準法令集』をセットで活用