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- 大規模の修繕って何?
- 大規模の模様替えとは、どう違う?
- 確認申請の手続きは必要?
こんな悩みに答えます。
本記事では、建築基準法における「大規模の修繕」と「大規模の模様替え」について解説。
✔️ 記事の内容
- 用語の定義
- 確認申請の要否
- 修繕・模様替えの具体例
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このサイトは、確認検査機関で意匠審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築基準法の知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
大規模の修繕とは
大規模の修繕とは、主要構造部のうち一種を50%超の範囲にわたって修復することです。
性能や品質が劣化した既存部分を、ほぼ同じ位置・形状・材料で造りかえて、性能や品質を回復する工事
主要構造部は、おおまかに言うと建築物の以下の部分。
- 壁
- 柱
- 梁
- 床
- 屋根
- 階段
例えば、屋根を補修する際に、屋根面積の過半を超えれば、建築基準法における「大規模の修繕」にあたります。
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大規模の模様替えとは
大規模の模様替えとは、主要構造部のうち一種を50%超の範囲にわたって改装することです。
既存の部分を異なる材料や仕様で造りかえて、性能や品質を回復する工事
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木造の階段を鉄骨階段に替える場合は、修繕ではなく、模様替えですね。
確認申請の要否
大規模の修繕や模様替えにあてはまる改修工事は、建築確認申請が必要となるケースがあります。
✔️ 建築確認申請の要否判定表
〇:建築確認が必要 ✕:建築確認が不要
全国 | |||||||
都市計画区域内 | 準都市計画区域 | 準景観地区 | その他の地域 | ||||
防火・準防火地域 | |||||||
法6条1項一号 (特殊建築物) 建築基準法別表1の 床面積>200㎡ |
新築 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
大規模の修繕・大規模の模様替え | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
法6条1項二号・三号 (中・大規模建築物) 木造≧階数3 >延面積500㎡ >軒高9m 木造以外≧階数2 >延面積200㎡ |
新築 | 〇 | 〇 | 〇 | |||
大規模の修繕・大規模の模様替え | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
法6条1項四号 上記以外の建築物 |
新築 | 〇 | 〇 | ✕ | |||
大規模の修繕・大規模の模様替え | ✕ | ✕ | ✕ |
注目したいのは「法6条4号建築物の大規模の修繕・模様替えは確認申請が不要」という点。
木造2階建て住宅で小規模なものは、申請対象外となりますね。
逆にいえば、建築基準法6条1項一号〜三号のいずれかの建築物へ大規模な修繕・模様替えを行う場合、着工前に確認申請を受ける必要があるということ。
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木造3階建て住宅(←法6条1項二号)の屋根を全面改修する場合は、確認申請が必要となります。
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確認申請における構造計算の要否
大規模の修繕・模様替えの確認申請を提出する場合、“構造耐力上の危険性が増大しない計画”であれば、構造計算書の添付が不要となります。
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屋根や外壁の改修では、既存の部材と比べて荷重が増えない仕様にすることで、構造審査が免除。
もしも、構造的な危険性が高くなる設計とした場合は、現在の建築基準法の規定が適用され、確認申請において構造審査を受けることになります。
具体的な事例
大規模な修繕や大規模な模様替えの具体例を以下に示します。
✔️ 修繕とみなされる例
- 外壁のサイディングを既存と同等のサイディングで造りかえる
- 鋼製の屋根を同じ材質で葺き替える
✔️ 模様替えとみなされる例
- 木製の柱を鉄骨柱に造り替える
- 木製階段を鉄骨階段にする
- 茅葺きの屋根をガルバリウム鋼板屋根に替える
では、“大規模”か否かの判定基準も見てみましょう。
✔️ 大規模(過半)かどうかの判定基準
- 壁:総面積に占める割合
- 柱:総本数に対する割合
- 梁:総本数に占める割合
- 床:水平投影面積に占める割合
- 屋根:水平投影面積に占める割合
- 階段:階ごとの総数に占める割合
建築基準法で大規模の修繕・大規模の模様替えを読む
以下の用語の定義は、建築基準法2条に書かれています。
- 主要構造部
- 大規模の修繕
- 大規模の模様替え
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第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
中略
五 主要構造部 壁、柱、床、はり、屋根又は階段をいい、建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分を除くものとする。
中略
十四 大規模の修繕 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕をいう。
十五 大規模の模様替 建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の模様替をいう。
確認申請の要否については、建築基準法6条ですね。
第六条 建築主は、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、当該工事に着手する前に、その計画が建築基準関係規定(この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定(以下「建築基準法令の規定」という。)その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定で政令で定めるものをいう。以下同じ。)に適合するものであることについて、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。当該確認を受けた建築物の計画の変更(国土交通省令で定める軽微な変更を除く。)をして、第一号から第三号までに掲げる建築物を建築しようとする場合(増築しようとする場合においては、建築物が増築後において第一号から第三号までに掲げる規模のものとなる場合を含む。)、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合も、同様とする。
一 別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が二百平方メートルを超えるもの
二 木造の建築物で三以上の階数を有し、又は延べ面積が五百平方メートル、高さが十三メートル若しくは軒の高さが九メートルを超えるも
三 木造以外の建築物で二以上の階数を有し、又は延べ面積が二百平方メートルを超えるもの
四 前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
まとめ
- 大規模の修繕とは、主要構造部の一種について、過半を修復すること。
- 大規模の模様替えとは、主要構造部の一種について、過半を改装すること。
- 確認申請が必要となるのは、法6条1項一号~三号のいずれかに当てはまるもの。
- 法6条1項4号建築物の大規模な修繕・模様替えは確認申請が不要。
- 確認申請を提出する場合、“構造耐力上の危険性が増大しない計画”であれば、構造計算書の添付が不要。
- 大規模かどうかの判定基準
- 壁:総面積に占める割合
- 柱:総本数に対する割合
- 梁:総本数に占める割合
- 床:水平投影面積に占める割合
- 屋根:水平投影面積に占める割合
- 階段:階ごとの総数に占める割合