
- 断熱等級7って、どれくらいすごいの?
- 等級6とは何が違って、費用はどれだけ変わる?
- 自分の地域だと、UA値はいくつを満たせばいい?
こんな悩みに答えます。
本記事では住宅性能表示における「断熱等級7」についてわかりやすく解説。
記事を読むことで、以下の内容を理解することができます。
- 断熱等級7の基準値(UA値・ηAC値)
- 実際にクリアするための断熱材・窓の仕様
- 等級6との費用差
- 等級7のメリットとデメリット

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住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
断熱等級7とは【HEAT20 G3相当の最高水準】
断熱等級7の正式名称は「断熱等性能等級7」。
品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)に基づく住宅性能表示制度で、住宅の断熱性能を等級1〜7の7段階で評価する仕組みの、最上位に当たります。(2026年9月時点)
新設されたのは2022年(令和4年)10月1日。
断熱等級4〜7の位置づけ
| 等級 | 相当する水準 | 位置づけ |
|---|---|---|
| 等級4 | 平成28年省エネ基準 | 2025年4月から適合義務化された最低ライン |
| 等級5 | ZEH水準 | 2030年度以降の新築で確保を目指すとされる水準 |
| 等級6 | HEAT20 G2相当 | 暖冷房の一次エネルギー消費量を概ね30%削減する水準 |
| 等級7 | HEAT20 G3相当 | 暖冷房の一次エネルギー消費量を概ね40%削減する水準 |
等級4が「守らなければいけない下限」であるのに対し、等級6・7は「任意で目指す上位の目標」です。
なお、等級ごとの横並び比較については断熱等級(断熱等性能等級)とは|等級5・6・7のUA値【一覧表】という記事をご確認ください。
HEAT20 G3とはどんな水準か
HEAT20は、正式名称「2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会」。
民間の研究委員会で、G1・G2・G3という独自の断熱グレードを提唱しています。
このうち最上位のG3が、断熱等級7とほぼ同じ性能水準。
HEAT20がグレードを定めるときの発想は、UA値そのものではなく「冬にどれだけ室温が下がらないか」にあります。
G3水準であれば、暖房をしていない状態でも住戸内の最低体感温度がおおむね15℃を下回らないとされ、いわゆる「家じゅうどこでも寒くない」状態に近づくわけですね。

国の基準(断熱等級)と民間の基準(HEAT20)は、基準の立て方そのものが異なります。
「G3だから等級7」と機械的に読み替えず、どちらの基準で評価した数値なのかを確認しましょう。
断熱等級7の基準と数値【UA値・ηAC値を地域別に解説】
断熱等級7を満たしているかどうかは、外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)の2つで判定します。
この2つが、地域区分ごとに定められた基準値以下であることが条件になります。
判定の考え方はシンプルで、次のとおり。

- UA値 … 地域区分ごとの基準値以下であること
- ηAC値 … 地域区分ごとの基準値以下であること(1〜4地域は基準なし)
両方を同時に満たす必要がある点に注意してください。
地域区分別のUA値・ηAC値基準【一覧表】
断熱等級7の基準値を、地域区分ごとにまとめると以下のようになります。
| 地域区分 | 主な該当地域 | 等級7のUA値 | 等級7のηAC値 |
|---|---|---|---|
| 1地域 | 北海道の一部 | 0.20以下 | - |
| 2地域 | 北海道の一部 | 0.20以下 | - |
| 3地域 | 青森・岩手・秋田の一部など | 0.20以下 | - |
| 4地域 | 東北の一部・長野の一部など | 0.23以下 | - |
| 5地域 | 関東の内陸部など | 0.26以下 | 3.0以下 |
| 6地域 | 東京23区・大阪・名古屋など | 0.26以下 | 2.8以下 |
| 7地域 | 九州の平野部など | 0.26以下 | 2.7以下 |
| 8地域 | 沖縄など | 設定なし | 設定なし |
参考までに、等級6のUA値と並べるとその厳しさが見えてきます。
| 地域区分 | 等級6のUA値 | 等級7のUA値 |
|---|---|---|
| 1〜3地域 | 0.28以下 | 0.20以下 |
| 4地域 | 0.34以下 | 0.23以下 |
| 5〜7地域 | 0.46以下 | 0.26以下 |
6地域で比べると、等級6の0.46に対して等級7は0.26。
数字にすると小さな差に見えるものの、UA値を0.2下げるためには、外皮の断熱仕様をひととおり格上げする必要があります。
どの地域区分に当たるかは、市町村単位で定められています。同じ都道府県でも市町村によって区分が分かれるため、国土交通省が公表している地域区分の一覧で確認してください(出典:国土交通省「建築物省エネ法」関連資料)。
UA値とηAC値とは
UA値(外皮平均熱貫流率) は、住宅の内部から外皮全体を通じてどれだけ熱が逃げやすいかを表す指標。
屋根・外壁・床・窓など外皮全体から逃げる熱量を、外皮の面積で割って算出します。単位はW/(㎡・K)。
値が小さいほど熱が逃げにくい、つまり断熱性能が高いと判断できます。
ηAC値(冷房期の平均日射熱取得率) は、冷房期にどれだけ日射熱が室内へ入り込むかを表す指標です。小さいほど日射熱が入りにくく、夏に有利。


窓の遮熱性能や庇・軒の出、外付けブラインドの有無などが効いてきますね。
断熱等級7にするための条件【断熱材・窓の仕様】
等級7は、壁・屋根・床の断熱を強化したうえで、窓をトリプルガラス+樹脂サッシに置き換える。この組み合わせが前提になります。

とくに窓の影響が大きく、ここをケチると他をどれだけ強化しても数値が届かない、というのがよくあるパターンですね。
断熱材の種類・厚みの目安
等級7では、充填断熱だけで納めるのは難しく、充填断熱+外張り断熱の「付加断熱(ダブル断熱)」 が基本形になります。
| 部位 | 仕様の目安 |
|---|---|
| 外壁 | 高性能グラスウール105mm充填+外張り断熱材50〜100mm |
| 屋根・天井 | 高性能グラスウール300〜400mm程度 |
| 床・基礎 | 床断熱なら厚み強化、基礎断熱なら立上り+底盤 |
断熱材の種類そのものに指定はありません。
グラスウール、ロックウール、硬質ウレタンフォーム、フェノールフォーム、セルロースファイバーなど、どれを選んでも構造上・コスト上の条件を満たせば問題なし。
ただし熱伝導率が低い(=性能が高い)材料ほど薄い厚みで同じ性能を出せるため、壁厚の制約が厳しい都市部の住宅では、フェノールフォームのような高性能材が選ばれやすい傾向があります。
窓・サッシの性能
等級7で最も効いてくるのが開口部です。
| 部位 | 仕様の目安 |
|---|---|
| ガラス | トリプルガラス(Low-E・アルゴンガスまたはクリプトンガス封入) |
| フレーム | 樹脂サッシ(アルミ樹脂複合では届きにくい) |
| 窓の熱貫流率 | Uw値1.0W/(㎡・K)前後以下が目安 |
| 玄関ドア | 高断熱仕様のもの |
Low-E複層ガラス+アルミ樹脂複合サッシは、等級5〜6であれば十分に選択肢に入ります。ところが等級7となると、この組み合わせでは基準値に届かないことがほとんど。
トリプルガラス+樹脂サッシへの置き換えが、実質的な必須条件になると考えておいたほうが安全でしょう。

窓は「性能」だけでなく「面積」も効きます。大開口を並べれば当然UA値は不利に振れます。
南面の日射取得を活かしつつ北面の窓を絞る、といった配置の工夫で数値が改善することもあります。
断熱等級7にかかる費用【等級6との差額】
先にお伝えしておくと、追加費用は建物の規模・形状・窓の数・採用する製品・依頼先の仕入れ条件で大きく変わります。
同じ「等級6→7」でも金額に倍近い開きが出ることは珍しくないので、以下は傾向としてお読みください。
費用が増える主な要因
等級6から等級7へ引き上げるときに追加コストが発生するのは、主に次の3つ。
- 付加断熱の材料費と施工手間:充填断熱だけの納まりに、外張りを重ねる工程が増える
- 開口部のグレードアップ:アルミ樹脂複合+Low-E複層 → 樹脂+トリプルへの置き換え
- 施工精度の担保にかかる手間:断熱欠損や気密の処理に、より丁寧な施工が求められる
とくに窓の影響が大きく、窓の数が多いプランほど差額は膨らみます。
差額の目安
延床30坪程度の木造住宅で、等級6から等級7への引き上げに100万〜250万円程度。
等級4から一気に上げる場合は、さらに大きな差額になります。
ただし建材価格や依頼先で上下する数字です。「いくらかかりますか」と聞かれたら、ネットの相場感をそのまま伝えず、見積で確認してもらうよう案内するのが誠実な対応ですね。
補助金・税制優遇との関係
断熱等級6以上を要件とする補助金や住宅ローン減税の優遇があり、実質的な負担が表面上の差額より小さくなるケースもあります。
断熱等級7のメリット
コストをかけてでも等級7を目指す価値は、主に4つ。
- 室温が安定し、部屋ごとの温度差が小さくなる
- ヒートショックのリスク低減が期待できる
- 冷暖房エネルギーを大きく削減できる
- 間取りの自由度が上がる
室温が安定し、部屋ごとの温度差が小さくなる

外気温の影響を受けにくく、暖房を止めた後も室温が下がりにくい。
効いてくるのは平均室温よりむしろ部屋間の温度差のほうです。
廊下・洗面所・トイレが冷え込みにくくなり、「リビングは暖かいが脱衣室は寒い」という状態から脱却できます。
ヒートショックのリスク低減が期待できる
温度差が小さくなることは、急激な温度変化による血圧の変動、いわゆるヒートショックのリスク低減にもつながる要素。
冷暖房エネルギーを大きく削減できる
等級7は、暖冷房にかかる一次エネルギー消費量を等級4と比べて概ね40%削減する水準として設定されています。等級6は概ね30%。
間取りの自由度が上がる
断熱性能が低い住宅では、吹き抜け・大空間・大きな窓は「冬に寒くなるから」と敬遠されがち。等級7の性能があれば、こうした空間を選択肢に入れやすくなります。

断熱を上げることが、結果的に設計の自由度を広げる。間取りで悩んでいる施主に響きやすい視点です。
断熱等級7のデメリット
断熱等級7を実現するときのデメリットをまとめました。
- 建築コストが上がる
- 壁が厚くなり、敷地条件に影響することがある
- 夏の対策と換気計画が甘いと逆効果になる
- 気密性能(C値)は等級の要件に含まれない
建築コストが上がる
同じ予算のなかで等級7を優先すれば、その分だけ設備や内装、あるいは床面積を削ることになるかもしれません。
「性能に予算を寄せるか、広さや仕上げに寄せるか」という配分の話として整理すると、施主も判断しやすくなりますね。
壁が厚くなり、敷地条件に影響することがある
付加断熱を採用すると外壁の厚みが増え、同じ延床面積でも建物の外形は大きくなる。
狭小敷地や外壁後退の制限がある地域では、この壁厚の増加が配置計画に直接効いてきます。
夏の対策と換気計画が甘いと逆効果になる
断熱性能が高いということは、一度入った熱も逃げにくいということ。
日射遮蔽が不十分だと、日中に窓から入った熱がこもり、かえって暑くなるケースもあります。
気密性能(C値)は等級の要件に含まれない
断熱等級7の判定に使うのはUA値とηAC値の2つだけで、気密性能(C値)は含まれていません。
書類上は等級7でも、気密施工が甘ければ隙間から熱が逃げ、体感性能は想定を下回る可能性も。

「等級7=快適な家」と単純に結びつけず、気密測定を実施するかどうかも確認しておくのが安全ですね。
断熱等級7に関するQ&A
断熱等級7に関してよくあるQ&Aをまとめました。
「断熱等級7相当」=「断熱等級7」?
住宅性能表示制度に基づく等級は、登録住宅性能評価機関の評価を受けて初めて「等級7」と表示できます。
「等級7相当」は、第三者の評価を受けずに自社で試算した結果である可能性も。計算の前提条件が異なれば、数値も変わってきます。
確実にしたいなら、次のいずれかを求めるべきでしょう。
- 設計住宅性能評価書に断熱等性能等級7の記載があるか
- UA値・ηAC値の計算書(どの地域区分の基準と照合したものか)
- BELSなど第三者機関による評価書があるか
8地域(沖縄など)でも断熱等級7は取得できる?
国土交通省は「等級6を上回る現実的な日射遮蔽対策が想定されない」ことを、理由として挙げています。

8地域で最高等級を目指す場合は、等級6が上限ですね。
まとめ
- 断熱等級7とは、品確法の住宅性能表示制度で定められた断熱性能の最高等級。
- 判定に使うのはUA値とηAC値の2つ。地域区分ごとの基準値を両方満たす必要がある。
- 6地域のUA値基準は0.26以下(等級6は0.46以下)
- ηAC値は1〜4地域では基準なし
- 等級7は、壁・屋根・床の断熱強化に加えてトリプルガラス+樹脂サッシが前提。
- 等級6から等級7への引き上げ費用は、延床30坪程度の木造住宅で100万〜250万円程度が目安。
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