
- 火熱遮断壁(かねつしゃだんへき)ってなに?
- どんな壁や扉の仕様にすればいい?
- 防火上の「別棟みなし」はどうすればできる?
こんな疑問や要望に答えます。
本記事では「火熱遮断壁」についてわかりやすく解説。
別棟とみなすための条件、壁や開口部の具体的な仕様を理解することができます。

このサイトは、確認検査機関で審査を担当していた一級建築士が運営。
住宅から特殊建築物まで1000件以上の設計相談を受けた経験をもとに、建築知識をわかりやすくまとめていきます。ご参考までにどうぞ。
火熱遮断壁とは
火熱遮断壁とは、建築基準法において、火災時の延焼を遮断できる高い耐火性能を持つ壁等のことです。
この壁等を用いて建物を区画することで、一棟の建築物であっても、区画されたそれぞれの部分を防火規制(建築基準法21条・27条・61条など)の適用上「別棟」として扱うことが可能に。

出典:国土交通省HP
この規定は、令和4年の法改正(令和6年4月1日施行)により、脱炭素社会の実現に向けて、建築物における木材利用を促進する目的で創設されました。
導入の目的とメリット
従来の規定では、混構造や複合用途の建物の場合、一部の厳しい耐火規制に引きずられて建物全体に厳しい基準が適用されていました。
「火熱遮断壁」で区画することにより、分離された部分ごとに異なる規制を適用できるため、耐火建築物の一部を木造化するなど、設計の自由度が大きく向上します。



火熱遮断壁を適用した「別棟みなし」の条件
火熱遮断壁によって「別棟みなし」の特例を受けるためには、以下の条件をすべてクリアする必要があります。
- 建物全体が、倉庫(営業用)、自動車車庫・修理工場、映画スタジオなどの火災リスクが高い用途ではないこと。
- 火熱遮断壁に直接面する部屋(隣接室)を、倉庫や駐車場など、大量の可燃物を置く用途にしないこと。
- 建物の構造耐力上主要な部分を、原則として鉄骨造としないこと(※火災で損傷しても火熱遮断壁に影響を与えない部分などは例外)。
- ベースとなる建物の構造を、簡易な耐火構造(外壁耐火構造など)としないこと。
- 床や天井のみによる上下の分離は認められず、必ず壁を含めて区画すること。
- 火熱遮断壁や隣接室の階数が4階以上になる場合、その部分を階段や吹き抜けなどの「竪穴部分」としないこと。
- 屋根の屋外側の仕上げを、原則として不燃材料ですること。
構造と仕様の基本ルール
火熱遮断壁による区画を構成する壁や開口部は、大きく3パターンに分類されます。
- 平面的に区画する「壁タイプ」
- 階段等を囲う「コアタイプ」
- 建物をつなぐ「渡り廊下タイプ」

出典:国土交通省HP

出典:国住指第434号 国交省HP
「壁(間仕切壁や外壁)」の構造は、対象区画の「火災継続予測時間」に応じて決定され、予測時間が長い(90分を超える)ほど鉄筋コンクリート造などの厳しい仕様が求められるもの。

区画を構成する「柱」や「はり」も、計算された火災継続予測時間以上の火熱に耐え続ける「耐火構造」にする必要があります。
「開口部(通行のための扉など)」は火災時の弱点となるため、高い遮熱性などを有し、大臣認定を受けた防火設備を原則として「2つ以上設置(二重扉など)」。
「壁等の接合部や防火被覆の継ぎ目(取合い部)」は、内部への炎の侵入を有効に防ぐ「炎侵入防止構造」としなければなりません。
火熱遮断壁における「躯体と建具の基本ルール」について、詳しくは告示227号をご参照ください。
火熱遮断壁の仕様
火熱遮断壁の厚みや材質は、対象区画で火災がどのくらい続くかを示す「火災継続予測時間」によって決まります。
仕様の例は以下のとおり。
| 火災継続予測時間 | 壁の仕様例(告示227号) |
|---|---|
| 90分を超える場合 |
|
| 60分を超え、90分以下 |
|
| 60分以下 | 耐火構造(1時間耐火など) |
まとめ
- 火熱遮断壁とは、火災時の延焼を遮断できる高い耐火性能を持つ壁等のこと。
- 火熱遮断壁で区画することにより、分離された部分ごとに異なる規制を適用できるため、設計の自由度が向上する。
- 火熱遮断壁による区画を構成する壁や開口部は、3パターンに分類される。
- 壁タイプ
- コアタイプ
- 渡り廊下タイプ
- 火熱遮断壁の厚みや材質は、対象区画で火災がどのくらい続くかを示す「火災継続予測時間」によって決まる。
人気記事 転職3回の一級建築士が語る。おすすめ転職サイト・転職エージェント

